形質転換
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/01 13:28 UTC 版)
分子生物学において形質転換(けいしつてんかん、Transformation)は、細胞外部からDNAを導入し、その遺伝的性質を変えること、またその操作を意味する。
英語のtransformation には上記の意味に加えて、正常な動物細胞が無制限に分裂を行うようになる、つまりがん化の意味(悪性形質転換を参照)や、化生の中で特にダイナミックなもの(幹細胞まで脱分化したり組織の基本形の壁を越えて変化したりするもの)の意味を含み、混同を避けるため、動物細胞への遺伝子導入はトランスフェクション(英:transfection)が通常使用される。またファージやウイルスを用いた遺伝子導入は形質導入(英:transduction)と呼ばれる。
形質転換は、1928年フレデリック・グリフィス(Frederick Griffith)によって肺炎双球菌に対する実験(グリフィスの実験)により発見された。自然界において普通に起こりうる形質転換は実験室内においては人為的に作成出来るようになった。
バクテリアに対する形質転換としては、電気パルスにより瞬間的に細胞に穴を開けるエレクトロポレーション法や、塩化カルシウム存在下でコンピテントセル化した菌を用いる方法が広く使用されている。通常はファージ、プラスミドなどのベクターを用いて外来遺伝子を導入する。植物細胞に対してはアグロバクテリウム、パーティクル・ガン法やエレクトロポレーションがよく使用される。糸状菌などに対してはプロトプラスト-PEG法やエレクトロポレーション法、酵母に対してはLi法などがよく使用される。また、この他にもBiolistic法などもある。
これらの形質転換法は、生物学の研究にとって欠かすことのできないツールである。この形質転換法の開発によって、現在のバイオテクノロジーの発展があった。
応用としては発現誘導プロモーターを用いた転換、ジーントラップ法、エンハンサートラップ法、アクティベーションタギング法などが挙げられる。
関連項目
遺伝的形質転換
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「レジオネラ・ニューモフィラ」の記事における「遺伝的形質転換」の解説
形質転換は、周囲の液体培地を介したある細菌から別の細菌へのDNAの移動を伴う細菌適応である。形質転換は細菌版の交尾である 。細菌が外因性DNAを結合し、取り込み、その染色体に再結合するためには、「コンピテンス(competence )」と呼ばれる特別な生理学的状態に入らなければならない。 L.ニューモフィラのコンピテンスを誘導する可能性のある分子を特定するために、64の毒性分子をテストした。これらの分子のうち、6つのDNA損傷剤のみが、強いコンピテンス能誘導を引き起こした。 これらは、マイトマイシンC (DNA鎖間架橋を導入)、ノルフロキサシン 、オフロキサシン 、およびナリジキシン酸(二本鎖切断を引き起こすDNAジャイレースの阻害剤)、ビシクロマイシン (二本鎖切断を引き起こす)およびヒドロキシ尿素 (DNA塩基の酸化を引き起こす)だった。 これらの結果は、レジオネラ肺炎における形質転換の能力がDNA損傷への応答として進化したことを示唆している。おそらく、能力の誘導は、他の病原性細菌で起こるように、自然宿主での生存の利点を提供する。
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