遺伝子とタンパク質の構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/13 17:18 UTC 版)
「インスリン様成長因子結合タンパク質3」の記事における「遺伝子とタンパク質の構造」の解説
IGFBP3遺伝子はヒトの7番染色体(英語版)に位置し、タンパク質をコードする4つのエクソンと3'UTRに位置する5番目のエクソンから構成される。IGFBP1遺伝子とは近接してtail-to-tail型に配置されており、両者は約20 kb離れている。IGFBP3遺伝子にコードされるIGFBP-3タンパク質は、27残基のシグナルペプチドに264残基の成熟タンパク質が続いている。IGFBP-3は他の高親和性IGFBPと共通した3ドメイン構造からなる。 保存されたN末端ドメインにはシステインリッチ領域(12個のシステイン残基)が存在し、複数のドメイン内ジスルフィド結合、IGF結合の主要な部位となるIGFBPモチーフ(GCGCCXXC)が存在する。 高度な多様性を示す中央ドメインまたはリンカードメインはIGFBP間で約15%の保存性しかみられない。 保存されたC末端ドメインには副次的IGF結合部位、システインリッチ領域(6個のシステイン残基)、ヘパリンを結合する18残基の塩基性モチーフ、ALS結合部位、そして核局在配列が存在する。 リンカードメインは最も多くの翻訳後修飾が行われる部位であり、グリコシル化、リン酸化、そしてタンパク質の限定分解が行われる。電気泳動分析では、IGFBP-3は2–3か所のN-グリコシル化部位の糖鎖修飾の有無によって2つのバンドとして出現する。低グリコシル化IGFBP-3は長期のグルコース飢餓後にみられる場合がある。 多くのプロテアーゼがIGFBP-3をリンカードメインの1か所で切断することが知られており、妊娠中の女性の血中ではIGFBP-3は完全な分解が生じているが、それでも正常量のIGF-1とIGF-2を運搬することができる。タンパク質分解によって生じた2つの断片間の協調的な相互作用のため、分解後もIGF結合部位は維持され、結合能力が維持されているようである。
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