選挙権・被選挙権とそれをめぐる訴訟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 17:30 UTC 版)
「受刑者」の記事における「選挙権・被選挙権とそれをめぐる訴訟」の解説
日本では公職選挙法第11条第1項第1号・第2号により、受刑者には選挙権と被選挙権がない。この規定について受刑者から憲法44条に違反するとして、数件の訴訟が起こされている。 2013年9月27日、大阪高等裁判所は「一律に制限するやむを得ない理由があるとはいえない」として、規定が憲法違反であるとの判断を示した。原告の69歳の男性は2010年3月から11月まで滋賀刑務所で服役し、同年7月11日実施の参院選で投票ができなかったことについて訴訟を起こしていた。国への賠償請求は棄却された。 2013年12月9日には東京地方裁判所が「有罪判決で禁錮以上の刑を科せられた者への制裁の一つで、合理的な理由がある」として、上記の大阪高裁の判断と異なり合憲との判断を示した。東京都内の弁護士が原告となり、同年7月21日実施の参院選の無効を要求していた。 2016年7月20日に広島地方裁判所は「刑罰に伴う制裁として合理的」として合憲との判断を下した。原告の男性受刑者は2007年から広島刑務所で服役しており、2014年12月14日実施の衆院選で投票ができなかったことについて訴訟を起こしていた。 なお、憲法96条に定める日本国憲法の改正のための国民投票は受刑者にも投票権がある。国民投票は公職選挙法ではなく国民投票法に則って実施され、国民投票法では受刑者を欠格事由として定めていないためである。これらは上記の大阪高裁の違憲判断の際に指摘されている。
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