選挙方法への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/08 08:24 UTC 版)
国会では議席獲得に遠く及ばず、直接の政治的影響はほとんど無かったと言える。ただし、同性愛者などの社会的少数者の社会的進出のきっかけになったとの評価もある。 しかし、選挙方法においては、無視できない影響を残している。1983年の第13回参院選では、政見放送での演説がNHKは差別用語と判断し、自治省に違法ではないと照会を得た上でこの部分の音声を削除された(政見放送削除事件)。東郷は削除を公職選挙法違反として訴えた。東京地裁で勝訴するも、東京高裁で逆転敗訴、最高裁は上告棄却し原告敗訴が確定した。しかし、これ以降、政見放送での東郷の発言は消されなくなった。 もう一つは、1986年の第14回参院選で、東京都選挙区に聴覚障害者の渡辺完一を擁立した。渡辺は障害のため喋れず、手話での会話しかできないことから、テレビでは字幕の、ラジオではアナウンサーの音声による手話通訳を要求した。しかし、自治省は「そのまま放送しなければならない」と指導した。その結果、NHKは手話通訳を拒否し、TBSもこれに倣った。渡辺はやむなく手話のみで政見放送を行った。テレビでは手話を理解できなければ内容が分からず、ラジオに至っては全く内容を理解できない(声は出るが、健常者並の発話ができないため)放送となった。 この事件の後、喋れない障害のある候補者の政見放送に、初めて手話通訳が認められるようになった。なお、通常の政見放送の手話への翻訳は、現在でも政党の任意に留まっている。また、衆議院比例区は、全国11ブロックに分かれていて設備が揃わない地方があるとの理由から手話通訳が認められなかったが、2009年の第45回衆院選から手話通訳が可能になった。
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