選挙方法の評価項目
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/06 08:02 UTC 版)
選挙方法の良し悪しを判断するための様々な観点が知られている。 単記非移譲式投票は分かりやすいが、デュヴェルジェの法則により治者と被治者の自同性(民主主義)が損なわれる。優先順位付連記投票・単記移譲式投票はデュヴェルジェの法則を避けられるが、分かりにくく開票作業が大変。Approval votingはデュヴェルジェの法則の動作原理である戦略投票を逆手に取る上に、理解しやすく開票しやすい制度だが、比例代表には使いにくい。 小選挙区制は有権者との距離が近くなり、補欠選挙が行いやすい長所があるが、ゲリマンダーが発生しやすく地域エゴが国政に持ち込まれやすい短所がある。大選挙区制はゲリマンダーや地域エゴを抑制できる長所があるが、有権者との距離が遠くなり、補欠選挙が行いにくい短所がある。 多数代表は民意に政治的決断を迫る故に、切り捨てられた民意=死票が多い。死票が少ない比例代表制は、民意を詳細に再現するために、議会が無所属・小党乱立になり政治的混乱を招く恐れがある。また比例代表制は名簿の拘束力が高いほど候補者と有権者の距離が遠くなる。 アローの不可能性定理により、常識的とされる項目全てを実現する選挙方法は存在し得ないことが証明されている。このため、各選挙制度はその利点と欠点とを考慮して、適する用途に適用される必要がある。ちなみに、優先順位だけを記入する投票方法(に還元できるもの)のみを扱うアローの不可能性定理は、Approval votingやRange votingについては何も言及しない。
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