遮蔽・反遮蔽効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/12 18:00 UTC 版)
スケールの変化における結合定数の変化は、作用に含まれる場に関し電荷を持った仮想粒子を考える事で定性的に理解することができる。QEDにおけるランダウ・ポールの振る舞いは 真空における粒子―反粒子対 (例:電子ー陽電子対) の遮蔽による効果である。電荷の周辺では真空は偏極する:反対の電荷を持った仮想粒子が電荷の周りに引き寄せられ、電荷をもった仮想粒子は遠ざけられる。最終的な電荷は、有限の距離離れた場所において部分的に相殺されている。中心電荷に近づく程真空の効果がなくなり、電荷が増えるように見える。QCD においても、クォーク-反クォーク対により同様の事が起こり色荷を遮蔽する傾向にある。しかし、強い相互作用を媒介し、クォークの色を変えるグルーオンは色荷と反-色荷の双極子モーメントを持ち、最終的なグルーオンの真空偏極の効果は場を遮蔽するのではなく増大させ、その色荷に影響を及ぼす。これはしばしば反遮蔽と呼ばれる。クォークに近づく程に、周りを取り巻いた仮想グルーオンによる反遮蔽効果は減少し、この効果からの寄与は、近距離になるほど仮想色荷を弱める。また、クォークから遠ざかる程に仮想色荷を強める。これは、2つのクォークを引き離す程に強結合になることを意味し、クォークの閉じ込めを説明する。 仮想クォークと仮想グルーオンは反対の効果を与えるので、どちらの効果が勝つかはクォークの種類、すなわちフレーバーの数に依存する。3つのカラーを持ったQCDは、クォークのフレーバー数が 16 を超えない限り、反遮蔽が優勢であり、理論は漸近的自由性をもつ。実際には、クォークのフレーバー数は6つしか知られていない。
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