遠隔操縦オービタ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/11 21:12 UTC 版)
Autonomous Orbiter Rapid Prototype (AORP)としても知られる遠隔操縦オービタ(Remote Control Orbiter, RCO)は、遠隔操縦により、機体上の乗組員の操作なしで大気圏再突入及び着陸を行うスペースシャトルでる。NASAはRCOの飛行中メンテナンス(in-flight maintenance, IFM)ケーブルを開発し、スペースシャトルの既存の自動着陸機能を拡張して残りの作業を地上から完了できるようにした。RCO IFMケーブルの目的は、Ground Command Interface Logic (GCIL)とフライトデッキのパネルスイッチの間で電気信号を接続できるようにすることである。ケーブルは約8.5mの長さ、2.3kgの重さで、16のコネクタを備えていた。このシステムを用いて、ミッションコントロールセンターから無人のスペースシャトルに信号を送り、以下のシステムを制御できた。 補助動力装置(APU)の起動 Air Data Probe (ADP)の展開 メイン降着装置(MLG)の展開 減速用パラシュート の展開 燃料電池反応バルブの閉鎖 RCO IFMケーブルは、STS-121で初めて宇宙に持ち込まれ、ミッションの間はISSに置かれ、スペースシャトル計画の終了までISSで保管された。STS-121の前までは、損傷したスペースシャトルは放棄され、大気圏再突入で燃え尽きるのを待つことになっていた。RCOオービタのメインの着陸予定地点は、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ空軍基地である。通常のスペースシャトルの着陸で使用されるエドワーズ空軍基地は当初、RCOオービタの着陸予定地点とされたが、ヴァンデンバーグ空軍基地の方が沿岸に近く、太平洋に不時着しやすいことから、後にこちらが選ばれた。ニューメキシコ州のホワイトサンズ・ミサイル実験場が代替場所であると考えられている。着陸地点を考える大きな要素は、リスクの高い再突入を人口の多い地域から遠くで行うことである。STS-121の際に有効だった飛行規則では、損傷したシャトルは、破片が南太平洋に落下するような軌道で再突入することとされていた。 ソビエト連邦のブランは、乗組員なしでの処女飛行の時から、遠隔操縦が可能であった。着陸は、機体の自動システムで行われた。 2011年3月の時点で、ボーイングのX-37スペースプレーンは自動での軌道飛行、再突入、着陸を実証している。X-37は、もともとスペースシャトルのペイロードベイから打ち上げることを意図していたが、コロンビア号の事故後、アトラスVにより打ち上げられるようになった。
※この「遠隔操縦オービタ」の解説は、「STS-3xx」の解説の一部です。
「遠隔操縦オービタ」を含む「STS-3xx」の記事については、「STS-3xx」の概要を参照ください。
Weblioに収録されているすべての辞書から遠隔操縦オービタを検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。

- 遠隔操縦オービタのページへのリンク