遅期型積分ザックス・ヴォルフェ効果
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「ザックス・ヴォルフェ効果」の記事における「遅期型積分ザックス・ヴォルフェ効果」の解説
遅期型積分ザックス・ヴォルフェ(late-time ISW)効果は宇宙の歴史という尺度では極めて最近のダークエネルギーまたは宇宙定数が宇宙の膨張を支配し始めた時点から生じたものである。不運なことに、この用語は少々混乱を引き起こしやすい。遅期型ISW は暗黙のうちに、遅期型ISW効果の、密度の摂動展開における1次(線形)の項を指している。この効果の線形項はアインシュタイン・ド・ジッター宇宙では完全に消えるが、ダークエネルギー、または曲率が宇宙膨張を支配する宇宙では非零の値を取る。またこの効果の高次の項は宇宙膨張則によらず常に非零の値を示すが、その値は宇宙膨張やスケールによっても異なる。全非線形(線形項 + 高次項)遅期型ISW効果の中で、特に各々のボイドや銀河団の中で起こるものは、マーティン・リースと Dennis Sciama が、次のような物理学的な図式を解明して以来、Rees-Sciama効果として知られている。 ダークエネルギーに起因する宇宙の加速は、強く大規模なポテンシャル井戸と山さえも、光子がそれを横断する間に、崩壊させる原因になる。光子は、ポテンシャル井戸(超銀河団)に入り込むにつれ、少しエネルギーを獲得し、井戸が拡張され、浅くなった後に、それから出た後も、その獲得したエネルギーの幾ばくかをキープしている。同様に、光子は、スーパーボイドに入り込むにつれ、エネルギーを失うが、その間にわずかに押しつぶされた山から出るときは、失ったエネルギーの全てが回復されるわけではない。 遅期型ISWの一つの特徴は、銀河密度(平方度当たりの銀河の数)とCMBの温度の相互相関関数が0でないということである。 これは、超銀河団は光子を穏やかに加熱し、逆にスーパーボイドは冷却するからである。この相関は、中から高の有意性で、既に検出されている。 2008年5月に、 Granett、Neyrinck 及び Szapudi は、スローン・デジタル・スカイサーベイ (SDSS)の明るい赤色銀河カタログ (Luminous Red Galaxy catalog)の中で同定された、個々のスーパーボイドと超銀河団が、遅期型ISW効果と思われる領域に一致させられることを示した。彼らの、ザックス・ヴォルフェ効果の検出は、まず間違いなく、現時点で最もクリアーなものであり、スーパーボイドと超銀河団が、CMBに与えているごくわずかの効果をイメージ化している。
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