連続性の要求
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 04:39 UTC 版)
関数がクレローの定理の仮定を満たさない場合、例えば導関数が連続でないとき、偏導関数の対称性は成り立たないことがある。 非対称な関数の例: f ( x , y ) = { x y ( x 2 − y 2 ) x 2 + y 2 for ( x , y ) ≠ ( 0 , 0 ) 0 for ( x , y ) = ( 0 , 0 ) {\displaystyle f(x,y)={\begin{cases}{\dfrac {xy(x^{2}-y^{2})}{x^{2}+y^{2}}}&{\mbox{ for }}(x,y)\neq (0,0)\\0&{\mbox{ for }}(x,y)=(0,0)\end{cases}}} (1) この関数はいたるところで連続だが、その代数的導関数は原点において未定義(英語版)である。x 軸に沿って y 導関数は ∂y f |(x, 0) = x であり、したがって: ∂ x ∂ y f | ( 0 , 0 ) = lim ϵ → 0 ∂ y f | ( ϵ , 0 ) − ∂ y f | ( 0 , 0 ) ϵ = 1. {\displaystyle \partial _{x}\partial _{y}f|_{(0,0)}=\lim _{\epsilon \to 0}{\frac {\partial _{y}f|_{(\epsilon ,0)}-\partial _{y}f|_{(0,0)}}{\epsilon }}=1.} 同様に y 軸に沿って x 導関数 は ∂x f |(0, y) = −y であり、したがって ∂y∂xf |(0, 0) = −1 である。つまり、(0, 0) においては、∂x∂yf ≠ ∂y∂xf であり、この関数の混偏導関数が存在し他のすべての点において対称性を持つにもかかわらず、原点では非対称である。 一般に、極限操作の交換(英語版)は可換であるとは限らない。(0, 0) の近くの二変数と、h → 0 を最初にするのに対応するのと k → 0 を最初にするのに対応する f ( h , k ) − f ( h , 0 ) − f ( 0 , k ) + f ( 0 , 0 ) {\displaystyle f(h,k)-f(h,0)-f(0,k)+f(0,0)} 上の 2 つの極限過程が与えられると、一次の項を見て、どちらが最初に適用されるかが問題になり得る。これは二階導関数が対称でない病的な例の構成を導く。この種の例は関数の各点ごとの値が問題になる実解析 (real analysis) の理論に属する。超関数と見たときには二階偏導関数の値は任意の点集合においてこれがルベーグ測度 0 である限り変えることができる。上の例においてヘッセ行列は (0, 0) を除いていたるところ対称であるから、シュワルツの超関数と見てヘッセ行列が対称であるという事実と全く矛盾はない。
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