連続性と可微分性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 04:41 UTC 版)
関数 f(x) が x = a において微分可能ならば、 f(x) は x = a で必ず連続である。 一方で、関数がある一点で連続だったとしても、そこで微分可能でないことがある。 絶対値関数 f(x) = |x| は x = 0 において連続だが、この点で微分可能でない。h > 0 のときは (0, 0), (h, f(h)) を通る割線の傾きは 1 だが、h < 0 のときは −1 である。この例では、グラフは x = 0 においてカスプ(尖点)をもつという言い方をする。 関数 f(x) = x1/3 は x = 0 において連続だが、この点で微分可能でない。(0, 0), (h, f(h)) を通る割線の傾きは、h → 0 のとき正の無限大に発散するからである。この例は、グラフが滑らかにつながっているからといって微分可能とはかぎらないことを示している。 実用上現れる関数の大半は、ほとんど至るところで微分可能である。微分積分学の歴史(英語版)の初期には、多くの数学者は連続関数はほとんど至るところで微分可能であると考えていた。この仮定は緩やかな条件、たとえば単調性やリプシッツ連続性などのもとでは確かに満たされる。しかし1872年にヴァイアシュトラスは、至るところ連続だが、至るところ微分不可能な関数の例を与えた(ワイエルシュトラス関数)。1931年にバナフは、連続関数全体のなす空間において、少なくとも1点で微分可能な関数全体のなす集合が痩せている(英語版)(meager)ことを示した。くだけた言い方をすれば、ほとんどあらゆる連続関数がすべての点で微分不可能なのである。
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