通説と批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/15 14:29 UTC 版)
以上のように通説及び判例としては不可分説と可分説の折衷説であり、集合犯や包括一罪については(禁錮以上の刑に処す)中途の確定判決に関わらず一罪と評価すべきとし、かつ、覚せい剤取締法違反、強制性交等罪や同致傷罪の反復など罪質によっては包括一罪と評価すべきであっても別個の行為と評価すべき場合もある、と言うものである。 これに対し、中途の確定判決に感銘力を認めつつも(「警告理論」と呼ぶ)、反復した罪と中途の確定判決の罪との間に、保護法益や行為の面で構成要件が実質的に重なり合い(「刑法上の錯誤」参照)が認められない場合には、警告理論が有効に機能しないため実質的に併合罪として処理すべきと言う批判がある。この批判に立てば前記の平成23年12月5日静岡地裁判決は、オートバイ窃盗罪と強盗致傷罪の反復との間で構成要件の実質的重なり合いが無い事から、二刑を併合罪的処理して懲役30年に止める事にもなりうる。しかし同控訴審においては、警告理論やその要件に踏み込まず「確定裁判後に犯した罪について併合の利益を与えないことには相応の理由があるというべき」として原審判決を支持した。
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