通常弾頭型トライデント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/20 16:06 UTC 版)
「トライデント (ミサイル)」の記事における「通常弾頭型トライデント」の解説
2006年、国防総省は、トライデント通常弾頭改修プログラムを発案した。これは戦略的なオプションを多角化させるためのもので、迅速なグローバル打撃(英語版)と通称される、世界規模の迅速打撃能力を開発するための非常に長期的な戦略の一環である。 5億300万ドルのプログラムにより、既存のトライデント II(おそらく潜水艦1隻あたり2基)を通常弾頭付きに転換し、10メートル級の突入精度を実現するGPSによる航法更新および再突入体誘導・制御(投射体)を備えたMk.4改再突入体を搭載する。爆発物は搭載されないとされ、それというのも再突入体の質量および超音速での衝突速度が十分な機械的エネルギーと「効果」をもたらすからである。通常弾頭の第2のバージョンは破片弾頭型で、数千本のタングステン製のロッドを散布し、3000平方フィート(約280平方メートル)の領域を跡形なく粉砕する。これにより、警告時間および飛翔時間ほとんどなしでの精密な通常弾頭による攻撃が見込まれるようになる。 通常弾頭型弾道ミサイルにより第一に不利益をこうむるのは、レーダー警戒システムで、核弾頭型弾道ミサイルを識別することがほとんど不可能になる。これにより、他の核保有国が核攻撃と誤解して報復攻撃を誘発する可能性が生じうる。何よりも、このプロジェクトはアメリカ議会における2007会計年度の予算審議に先立って、国際的にも深刻な議論を引き起こした。ロシア大統領ウラジーミル・プーチンは、この計画が何よりも偶発的な核戦争発生の危険を増大させるであろうと警告した。「このようなミサイルの発射は…戦略核戦力を用いた全面的な報復攻撃を誘発してしまう」とプーチンは述べている。
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