返還論争
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2007年から2008年にかけて、チェス駒を最も適切な場所に展示すべきだとの議論が巻き起こった。2007年の終わり頃、アウター・ヘブリディーズ選出のスコットランド国民党の政治家たち(特にアニー・マクドナルドカウンシル議員、アラスデア・アラン (Alasdair Allan) スコットランド議会議員、アンガス・マクニール (Angus MacNeil) 英国議会議員)が『ルイス島のチェス駒』は発見された場所へ還すべきであるとの声を上げた。スコットランド政府のリンダ・ファビアーニ (Linda Fabiani) 外務文化大臣は「スコットランド博物館にはチェス駒が11個しか残されていないにもかかわらず、大英博物館が残りの出土品82点を依然保有するなど受け入れがたいことだ」とコメントし、スターリング大学のリチャード・オーラム (Richard Oram) 教授(中世及び環境歴史学)は、「サンプル」としての数個ならわかるが、それ以上の駒が大英博物館にあるべき理由はないとして、論争に参戦した。これを受けて、英国政府のマーガレット・ホッジ (Margaret Hodge) 文化、メディアおよびスポーツ大臣は「ばかばかしい話だとは思いませんか? ("It's a lot of nonsense, isn't it?") 」とスコットランド側の見解を一蹴した。発見場所に近いウィグの地方歴史協会「Comann Eachdraidh Uig」は、チェス駒の所有権についてあれこれ申し立てるつもりはなくエディンバラへの返還要求を支持するものでもないが、短期の貸出は歓迎したいと公式に表明した。 2009年10月から、大英博物館所蔵の24個とスコットランド博物館所蔵の6個のチェス駒が16ヶ月に渡りスコットランドの様々な土地を巡回することになった。この巡回展には一部スコットランド政府が資金援助しているが、スコットランドのマイケル・ラッセル (Michael Russell) 文化・外務大臣は「スコットランド政府と大英博物館は、最終的なチェス駒の扱いについては互いに異なる見解にあることを合意した」と表明した。大英博物館のボニー・グリア (en:Bonnie Greer) 副理事長は、重要なコレクションであるルイス島のチェス駒は大英博物館に残るであろうことを信じて疑わないと述べている。
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