近代のキリスト教音楽
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/23 23:17 UTC 版)
「キリスト教音楽」の記事における「近代のキリスト教音楽」の解説
クロード・ドビュッシーはその晩年の「聖セバスティアンの殉教」により印象主義音楽によるキリスト教音楽の代表を作った。 イーゴリ・ストラヴィンスキーの初期の作品は異教的、世俗的な作品が多かったが1920年代に回心を経験し、キリスト教音楽を作曲するようになった。彼は中期にも「詩篇交響曲」などを残しているが、主に晩年になってからの十二音技法によるミサや宗教カンタータによって、キリスト教音楽作曲家としても地位を確立した。ストラヴィンスキーは、教会音楽を作曲する者は信仰者でなければならないと信じていた。ストラヴィンスキーは正教会の奉神礼に用いることのできる無伴奏声楽聖歌も作曲している(ニケア・コンスタンチノープル信経など)。 パウル・ヒンデミットの新即物主義の音楽は「マリアの生涯」などを作らせた。また、フランス六人組の一人でスイス人のアルテュール・オネゲルのオラトリオ「ダヴィデ王」は彼の代表作のひとつで名高い。同じく六人組のフランシス・プーランクは、従来の甘美で感傷的あるいは楽天的な作風に対し、こと宗教的素材となると一転して厳しく崇高な作風を用いた。「グローリア」「スターバト・マーテル」「黒衣の聖母の連祷」はフランス近現代の合唱宗教音楽の傑作に数えられ、オペラ「カルメル派修道女の対話」もその宗教的題材による作曲家の敬虔さが伺える。テキストを用いない「オルガン、ティンパニと弦楽器のための協奏曲」においてもそれは顕著である。その曲の初演オルガニストでもあった後進世代の作曲家モーリス・デュリュフレは、作曲家としては寡作ではあったが、その代表作「レクイエム」をはじめオルガン曲や合唱曲など宗教的題材の音楽を作曲し、それらのほとんどは今なお実際のミサや典礼にも用いられている。 アルノルト・シェーンベルクはオペラ「モーゼとアロン」を書いており、これは旧約聖書に基づく作品ではあるが、本人は晩年ユダヤ教に改宗しており、「キリスト教音楽」の枠組みには捉えられないこともある。
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