軽装甲巡洋艦の登場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 05:25 UTC 版)
艦船用機関の出力が乏しかった19世紀には、小型の戦闘艦に装甲を施すことは困難であり、装甲を備えた比較的大型の装甲巡洋艦と、舷側装甲の代わりに機関室の上の甲板を装甲して(防護甲板という)、舷側防御は石炭庫によって代用させる比較的小型の防護巡洋艦が別個に建造された。その後20世紀に入り、タービンや水管式ボイラーの発達、石油燃料の一般化などによって機関の高出力化、および石炭庫による防御の非現実化という状況が発生したため、舷側に軽度の装甲を施した軍艦が防護巡洋艦に代わって登場する。これが軽装甲巡洋艦、すなわち軽巡洋艦である。 この定義に基づく艦はイギリスでは1910年に竣工したブリストル級、アメリカでは1908年に竣工したチェスター級偵察巡洋艦以降であるが、本格的な軽巡洋艦のスタイルを決定づけたのはイギリスのアリシューザ級(1914年竣工)である。アリシューザ級は常備排水量はわずか3,750トンに過ぎないが、水線部に最大3インチ(76mm)の装甲を施しており、石油専焼缶による蒸気タービン推進で28.5ノットの高速を発揮して「艦隊の目」としての地位を確立した。 「軽装甲巡洋艦」の名の通り、軽度だが装甲を備える艦が軽巡洋艦である。ホーキンス級は排水量・艦砲の口径ともに装甲巡洋艦に匹敵する大型艦であるが、装甲厚はアリシューザ級と当程度であり、建造当初は軽巡洋艦として分類された。
※この「軽装甲巡洋艦の登場」の解説は、「軽巡洋艦」の解説の一部です。
「軽装甲巡洋艦の登場」を含む「軽巡洋艦」の記事については、「軽巡洋艦」の概要を参照ください。
- 軽装甲巡洋艦の登場のページへのリンク