超親水
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/12 00:30 UTC 版)
限りなくゼロに近い接触角をもつ表面の性質を超親水・超親水性と呼ぶ。水と面との界面張力差を極力下げ、超撥水表面と同様に、凹凸を増やすことによって実現できる。超親水性の表面は水が均等に付着し、水滴が分散しない。そのため、濡れが起きた状態でも視界を確保することができる、濡れたあとの乾燥後に汚れが水滴状に残らないといった性質をもつ。超親水表面は広範に実用化され、また耐久性もある程度は確保されている。これは自己洗浄効果をもつ物質を表面に採用でき、表面構造が多少損傷を受けても、性質を保つからである。曇ったり濡れても機能を果たす鏡、住宅の外壁に採用して雨に伴って汚れを落とすことを狙ったもの、窓に採用して汚れを落とすことを狙ったもの(有名な例ではセントレア空港で採用されている)などが存在する。 超親水性の実現は、二酸化チタン (TiO2) によるものが著名である。二酸化チタンにおける超親水性は、二酸化チタンが半導体であることに由来することが解明されている。紫外線を受けた二酸化チタンは励起され、結晶中の酸素を酸化して酸素分子とチタン分子に分離させる。結果として二酸化チタン中に酸素痕跡の欠陥を形成し、この欠陥に水分子が吸着されることによって超親水性を発現する。またこの過程では表面が不均一化し、水との接触表面積は拡大される。この過程では水が二酸化チタンに吸着されることでラジカルが発生し、光触媒効果を発生させる。そのため、自己洗浄効果、脱臭分解作用などが得られる。この効果は接触表面積を大きくすることで拡大が可能であるものの、その手段の一つである超微粒子化(ナノ粒子化)については、生体に取り込まれた際の危険性があるとも無いともいわれ、カーボンナノチューブの危険性の有無と並んでナノテクノロジーのリスク評価の大きな関心事の一つとなっている。
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