負の化学イオン化 (Negative chemical ionization, NCI)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/12 02:22 UTC 版)
「化学イオン化」の記事における「負の化学イオン化 (Negative chemical ionization, NCI)」の解説
気相分析のための化学イオン化は正もしくは負のいずれかである。ほとんど全ての中性の分析物は、上記の反応を通して陽イオンを形成することができる。 負の化学イオン化(略称: NCIまたはNICI)による反応を見るためには、分析物は例えば電子捕獲イオン化によって負のイオンを生成する(負の電荷を安定にする)ことができなければならない。全ての分析物がこれを行うことができるわけではないため、NCIを使うことで他の一般的なイオン化技術(EI、PCI)ではできないある程度の選択性が得られる。NCIは酸性基もしくは電気陰性元素(特にハロゲン)を含む化合物の分析に使える:23。さらに、負の化学イオン化はより選択的であり、酸化剤およびアルキル化剤に対してより高い感度を示す。 ハロゲン原子は電気陰性度が高いため、NCIはその分析に対しては一般的な選択である。これにはPCB、農薬、難燃剤などの化合物の多くが含まれる。これらの化合物のほとんどは環境汚染物質であるため、行われるNCI分析の多くは環境分析の援助のもとでなされている。非常に低い検出限界が必要とされる場合はハロゲン化種、酸化剤、アルキル化剤のような環境毒性物質は、しばしばガスクロマトグラフにつながった電子捕獲型検出器を用いて分析される。 負イオンは、近熱エネルギー電子の共鳴捕獲、低エネルギー電子の解離捕獲やプロトン移動、電荷移動、水素化物移動などのイオン-分子相互作用を介して形成される。負イオン技術含む他の方法と比較して、NCIは溶媒がない中でも陰イオンの反応性をモニターすることができるので非常に都合が良い。電子親和力と低原子価のエネルギーもこの手法で決定できる。
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