試合直前
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 21:33 UTC 版)
ホームチームで「追いついた」側の中日は監督の高木以下、当日も変わらず「ここまできたら勝つ」というように、普段通りの姿勢で臨むことを決めていた。 ビジターチームで「追いつかれた」側の巨人は、球場入りを控えた当日昼に宿舎にて行ったミーティングが、監督(当時)の長嶋茂雄が選手に対して「俺たちは勝つ」を連呼するという異例のものであった。さらに、中日の先発が予想された今中慎二を同シーズン唯一攻略した試合のビデオを前日に名古屋入りしてから繰り返し見せ、選手たちにイメージを植え付けた(今中は、同季ここまでの対巨人戦が5勝2敗1セーブポイント・防御率2.45、地元の対巨人戦では11連勝中であり「巨人キラー」と呼ばれた)。実はこの時点で巨人のスコアラー陣は今中の投球時の癖を見破っており、スコアラーの一人だった三井康浩は長嶋から「三井、なんとかして今中を打つ方法はないか?」と聞かれ、その癖を前日ミーティングで公開した。 チーム内の雰囲気について松井秀喜は後年「覚えているのは僕から見て、落合さんや原さんの方が、もの凄く張り詰めた空気を持っていたことですね。(中略)(ミーティング後)みんな、凄く高揚してバスに乗り込んだんです」と述べている。なお、松井が述べた球場に行くバスに乗り込む際は、報道陣やファンが多く集まり、「(人並みを)かきわけるようにして」という状態であった。 長嶋が「国民的行事」と呼んだ試合の盛り上がりは、取材に訪れた報道陣の多さや警備の厳重さにも表れた。報道陣について今中は後年、見覚えのない顔が多く、報道陣そのものの多さに驚いたこと、さらにその接し方も取材という感じではなく、「『頑張ってね、応援してるから』まるで一人のファンのように、話しかけられる」と述べている。球審を務めた小林毅二も、後年に報道陣の多さについて述べている。警備体制は過去の事例 を踏まえ、巨人が試合に勝った場合等の中日ファンの乱入に備えた厳重なものであった。 両チームが試合前練習を終えたグラウンドでは、試合開始までの間に9月の月間MVPに選出された大豊泰昭、山本昌の表彰が行われ、18:00の試合開始となった。
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