訴追件数の少なさ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/01 02:03 UTC 版)
「裁判官訴追委員会」の記事における「訴追件数の少なさ」の解説
裁判官訴追委員会の統計によると、1948年に裁判官訴追委員会と裁判官弾劾裁判所が設立されてから2020年までに2万2319件の訴追請求があったにも関わらず、実際に弾劾裁判が行われた事例はわずか9例のみである(裁判官弾劾裁判所の項目を参照)。特に、2020年までに受理された2万2319件の訴追請求のうち全体の半数以上に相当する50.7%は、冤罪などの不当判決を理由としているが、これを理由に弾劾裁判が行われた事例は1例もない。2020年までに受理された2万2319件の訴追請求のうち、判決の不当性も含めて全体の95.1%は裁判官の職務上の不当行為を理由としているが、裁判官の職務上の不当行為を理由に弾劾裁判が行われた事例は1955年と1981年のわずか2例のみである。 1997年には、当時の裁判官訴追委員会事務局長が「訴追は単なる敗訴の不満や不服を述べたものが大部分で、到底罷免事由にはならないもの」とコメントした。また、裁判官訴追委員会は公式ホームページにおいて、「判決の内容など、裁判官の判断自体についての当否を他の国家機関が調査・判断することは、司法権独立の原則に抵触する恐れがあるので、原則として許されません。したがって、誤判は、通常、罷免の事由になりません。」と表明し、日本において冤罪などの不当判決を下した裁判官を罷免する方法は皆無であることを公式に認めている。 このような裁判所訴追委員会と裁判官弾劾裁判所の制度について、2011年10月20日、民主党衆議院議員の松野頼久は「形骸化している。長期間服役した人の冤罪が分かった時に、(有罪)判決を下した裁判官に何らかのことを考えるべきではないか」と問題提起した。この問題提起については「裁判官に対する圧力だと受け取られても仕方ない発言」とする批判が上がったが、松野本人は「形骸化した制度を検討すべきだという意味で、裁判官の判断を萎縮させるつもりはない」と説明した。しかし、その後も現在に至るまで前述の裁判所訴追委員会と裁判官弾劾裁判所の制度は改正されていない。
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