設立と開発ツール
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ボーランド(Borland International)は1983年に、フィリップ・カーン (Philippe Kahn、フランス人) によって設立された。最初に送り出された製品はアンダース・ヘルスバーグ (Anders Hejlsberg、デンマーク人) による「Turbo Pascal」であり、その後「Sidekick」などを発表。 特に「Turbo C」は、現在では一般的である、エディタ・コンパイラ・デバッガ・プロファイラなどが一体となった統合開発環境の先駆けであり、圧倒的なコンパイルスピードと相まって当時のプログラム開発者に大きな衝撃を与えた。当時単独コマンド式のコンパイラ「Microsoft C」のみしか持たなかったMicrosoftも「Quick C」などのGUI開発環境を開発して対抗した。 その後ボーランドは、当時は一般的な開発者にはほとんど知られていなかったオブジェクト指向の概念を全面的に取り入れると宣言する。 まずMS-DOS環境向け「Turbo C++」「Borland C++」を発表、その後Windows GUIアプリケーション開発向けに洗練された、独自拡張オブジェクト指向Pascal言語「Delphi」が発表された。 当時C言語によるWindowsアプリケーションの開発は極めて複雑で難解であり、ウィンドウを1つ表示するだけでも相当な学習量とコード記述、作業工数が必要とされた。それに対しDelphiはWindows上で統合開発環境を実現しており、Pascal言語の文法さえ知っていれば僅かの学習で、GUI上でボタンなどのコンポーネントを配置したあと、数行のコードの追加でワンクリックで作成でき、その生産性の差は圧倒的であった。 Delphiは一定の成功を収めたものの、当時はC、C++言語に比べてPascalを使用できる技術者は限られており、開発環境として一般的になるには至らなかった。 しかしその後、DelphiのC++版ともいえる「C++ Builder」を市場に投入。Delphiでの生産性をC++言語で実現することに成功した。 その後マイクロソフトはDelphi対抗として「Visual Basic」、C++言語系としては「Visual C++」を発表する。しかしボーランドの開発ツールはこれらのOSベンダー純正開発ツールに対しても互角以上の戦いを展開した。
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