視覚障害者向けの工夫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 13:32 UTC 版)
ユーロ硬貨は視覚障害者団体の協力を受けて設計されており、そのため触った感覚だけで視覚障害者が金種を区別できるような工夫が施されている。さらに硬貨に刻まれている内容を読み取ることができなくても見た目で区別ができるようになっている。 硬貨は額面に合わせてその大きさや重さが増えていく。ユーロ硬貨の8つの金種のなかでも1, 2, 5セント硬貨は小さく、色も赤みを帯びたもので、また薄くて軽い。10, 20, 50セント硬貨は黄色を帯びて、やや厚めで重い。1, 2ユーロ硬貨は2色で、セント額面の硬貨よりも大きくて厚いものとなっている。 概して額面が大きくなると硬貨は重く、大きくなる。また赤みを帯びていると低額面で、黄色が中間、2色のものは高額面となっている。 1セント硬貨は8つの硬貨のなかでももっとも小さいもので、その大きさこそが金種を判別する方法となる。1セント硬貨の直径は平均的な成人の親指ほどの大きさである。縁は滑らかで、色は赤銅色である。 2セント硬貨は1セント硬貨よりもわずかに大きいが、色合いは同じ赤銅色である。縁は滑らかで1本の溝が走っている。この溝は指先やつめで触れると容易にわかるもので、見た目や触感から2ユーロ硬貨が2枚の硬貨を圧着させたかのような形をしている。 5セント硬貨も1セント硬貨や2セント硬貨と同じく赤銅色をしており、この色の硬貨のなかでは、2セント硬貨に比べるとわずかながらではあるが、もっとも大きい。縁は滑らかである。 10セント硬貨は金色である。5セント硬貨に比べるとわずかに小さいが、厚さは10セント硬貨のほうがはるかに厚い。また縁は粗い鋸歯状となっている。重さも1, 2, 5セント硬貨よりも重い。 20セント硬貨は10セント硬貨よりも大きいが、色合いは同じ金色である。20セント硬貨には独特な切り込みを持つ、いわゆるスパニッシュ・フラワーと呼ばれる形をしており、触感から容易に判別することができるようになっている。 50セント硬貨も金色であるが、20セント以下の硬貨に比べると厚さ、重さ、大きさがはるかにある。縁は粗い鋸歯状になっている。 1ユーロ硬貨は内側が銀色で、周囲が金色となっている。縁は滑らかな部分と細かい鋸歯状の部分が交互に並んでいる。厚さや重さは50セント硬貨と同じであるが、その縁が50セント硬貨と区別する特徴となっている。 2ユーロ硬貨は1ユーロ硬貨と使われている色は同じであるが、内側が金色、周囲が銀色と、配色が逆になっている。ユーロ硬貨の中では直径がもっとも大きい。縁は細かい鋸歯状となっている。また縁には星と、発行国ごとに異なる文字が刻まれている。ただし縁を触った感覚からは金種を判別するのは難しく、もっぱら大きさで判断することになる。 ユーロ硬貨の流通開始以前にも、大きさ、色、外周といった部分で視覚障害者向けの設計が施されていた通貨はあったが、ユーロの導入にあたっては硬貨の流通の後ではなく、その前に視覚障害者団体から発行者側が意見を求めるといったことがはじめてなされた。
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