規定・学説・判例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 08:59 UTC 版)
民法のなかで自力救済を規定した条文は存在しない。もっとも、民法233条第4項では「隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることが出来る。」と規定しており、代執行によらない所有権に対する妨害排除を認めている。しかし通説・判例は原則禁止の姿勢をとっている。法律構成としては、占有訴権について定めた民法202条第2項を適用する。どのように入手されたものでも(盗んだものであっても)ひとたび占有された以上占有権が発生し、それを自力で奪い返すと占有権侵害となって不法行為により損害賠償請求権などが相手側に発生する。原則、これを取り戻すためには法的根拠と司法手続が必要となる。 例外規定についての条項もないが、学説では自力救済に関するドイツ民法を参考に論じている。判例もこれを受け、1965年の最高裁判決では、当該事件そのものについては自力救済にあたるとして棄却したものの、一般論として「力の行使は原則として法の禁止するところであるが、法律に定める手続によったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能または著しく困難であると認められ緊急やむをえない特別の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で、例外的に許される」と述べた。しかし判決として自力救済を容認した例はほとんどない。
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