被子植物以外における有性生殖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/13 16:16 UTC 版)
「植物の性」の記事における「被子植物以外における有性生殖」の解説
ソテツやイチョウといった原始的な裸子植物における有性生殖は、鞭毛を持った精子を用いる点が被子植物と大きく異なる。例えばイチョウの場合、まず雌花の胚珠に取り込まれた花粉は胚珠の上部にある花粉室と呼ばれる部分で4ヶ月程度そのままの状態を保ち、胚珠は直径約2cm程度に成長する。成長した胚珠内の花粉では数個の精子が作られ、9〜10月頃放出された精子が花粉室の液体の中を泳ぎ、造卵器に入り受精が完了し種子の成熟が始まる。 シダ植物やコケ植物などは生活環が被子植物とは違うため、有性生殖の方法も異なる。シダ植物の場合、まず胞子体(植物体)にある胞子嚢から、減数分裂を経て胞子を形成し、その胞子が発芽して前葉体となる。その前葉体上に、雄性器官である造精器と雌性器官である造卵器を形成し、造精器で作られた精子が造卵器の卵細胞に受精する。そうして生じた受精卵が生長して新たな胞子体となる。コケ植物でもシダ植物とほとんど同様の生活環を持つが、胞子から発芽したものは前葉体とは言わず配偶体という。また胞子体は配偶体の上に半寄生状態となる。 被子植物の場合、卵細胞を含む胚珠や精細胞を含む花粉が乾燥耐性をもつため、受精時に水分は必要ない。しかしシダ植物やコケ植物などでは、卵細胞が胚珠などに包まれておらず、また精子は雨の日などに水中を泳いで卵細胞にたどり着く。そのためこれらの植物では、外部環境に水分がなければ受精できない。
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