薬物療法と自殺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 07:53 UTC 版)
詳細は「抗うつ薬#副作用」を参照 抗うつ薬による治療開始直後には、年齢に関わりなく自殺企図の危険が増加する危険性があるとアメリカ食品医薬品局 (FDA) から警告が発せられ、日本でもすべてのSSRIおよびSNRIの抗うつ薬の添付文書に自殺企図のリスク増加に関する注意書きが追加された。 FDAは、子供・青年・18-24歳の若年者に対しては、SSRI治療は自殺念慮と自殺企図について高いリスクが存在すると報告している。成人についてはSSRIと自殺リスクの関係は明確ではない。あるレビューでは関係性が認められておらず、別のレビューではリスクが増加すると報告され、第三のレビューでは25-65歳ではリスクはなく65歳以上では低リスクと報告している。疾病データ上では、新しいSSRI時代の抗うつ薬の普及により伝統的に自殺リスクの高い国で自殺率の大幅な低下をもたらしていると分かった が、因果関係は確定されていない。 米国では2007年に、SSRIとその他の抗うつ薬について24歳以下の若年者では自殺リスクを増加させる可能性があるという黒枠警告がなされた。同様の警告は日本の厚生労働省からもされている。米国ではFDAの警告以降に若年者の自殺死者数が増加している。FDA警告の結果、若年者の抗うつ薬治療が少なくなり、結果として自殺者が増えたとすれば問題である。 英国『モーズレイ処方ガイドライン第10版』(2009年)では、うつ病の治療が希死念慮および自殺企図を防ぐ最も効果的な方法であり、ほとんどの場合、抗うつ薬による治療が最も効果的な方法であるとしている。 NICEガイドライン(2009)によると、2005年4月にヨーロッパ医薬品評価委員会はSSRIとSNRIについて、子供と青年には処方すべきではない(承認適応症を除くがこれは通常の抑うつは含まない)としている。 APAガイドライン(2004)では、抗うつ薬は自殺リスクを減らすエビデンスは小さい、しかしうつ症状の軽減に必要だとしている。
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