艦隊派の理論的背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/27 07:59 UTC 版)
末次らが「対英米7割論」を唱え、軍縮条約に三大原則を主張した点については理論的根拠があった。海上での戦闘行動が行われた場合、彼我の勢力比は静止状態の勢力の自乗に正比例するというものである。 つまり、米国10対日本7の勢力比は、戦闘行動中は100対49(ほぼ2対1)となる。この比率であれば、戦術的工夫で艦隊決戦の勝利を望み得るというものである。これには7割未満の艦隊は敗北するという戦史上の裏づけもあった。 なお7割論を戦史研究から導き出したのは、秋山真之である。この理論を基礎とした七割論は説得力があり、対米十割でも米国との戦争はできないと主張していた石橋湛山なども条件付ながら認めていた。 同じ理由により、もし同一条件で10隻対7隻が戦闘した場合の残存艦は7隻対0隻である。こうした数字の現実が、末次を対米戦術に腐心させ、月月火水木金金と謳われた猛訓練を生んでいるのである。一方海軍部内には同じ理由で対米戦、まして対英米戦は不可能と考える将官たちも少なからずいた。 なお日露戦争以降、米国側でも日本を仮想敵国とした戦争計画が策定されており、同様に「日本側にとって70%の優位性は攻撃の成功にあたり必須であるだろう」と考えている。
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