自由落下の利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/21 01:20 UTC 版)
自由落下は重力の影響しか受けないため、加速度は物体の質量に依存しない。そのため自由落下する箱と内部にある物体は同じ加速度のもと運動するため、箱内部の観測者にとっては無重力状態となる。これはあくまで理想的な状態の場合で、実際には微小重力状態である。人類が微小重力を得るための有効な方法は現在のところ自由落下のみである。自由落下により微小重力を得る地上施設が存在するほか、航空機や宇宙船も利用される。国際宇宙ステーションも微小重力下での研究を目的の一つとしている。 微小重力下では、水と油など地上では混ざり合わないもの同士が分離せず混合するため、新素材の開発に利用される。またタンパク質などの結晶が地上よりも容易に大きく成長するため、医療のための研究にも利用される。地球周回軌道にある宇宙船内部では、長期間にわたり微小重力状態を維持できるため、生物が長期間、あるいは数世代に渡って微小重力に晒されたときの影響を研究する目的で利用される。このような研究は、将来人類が長期間宇宙で活動することを視野に入れたものでもある。 絶叫マシンのフリーフォールは、落下するスリルと落下時の無重力状態を楽しむための遊具である。 上述の「天体の運動」の項目で述べた通り、地球もまた自由落下する物体である。従って地球上にいる人間も無重力状態にある。ただし地球の重力を除いてであるが。よって地球上の人間は地球の重力を感じる事はあっても、地球以外の天体の重力を感じる事は無い、という事になる。そして、実際には理想的な自由落下ではないので、正確に言えば微小重力状態であるのも同様である。微小重力の影響が無視できない端的な現象として、月の重力による潮汐が挙げられる。
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