胞子虫類の解体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/17 13:52 UTC 版)
20世紀末の体系門綱アピコンプレクサApicomplexa パーキンサス Perkinsea 胞子虫 Sporozoea 微胞子虫Microspora Rudimicrosporea 微胞子虫 Microsporea アセトスポラAscetospora Stellatosporea パラミクサ Paramyxea ミクソゾアMyxozoa 粘液胞子虫 Myxosporea 放線胞子虫 Actinosporea 1950年代から電子顕微鏡による微細構造の観察ができるようになると、新たな多様性と共通性が見出され、分類体系にも影響を及ぼすようになった。最も重要なものはアピカルコンプレックスの発見であり、これを持たない略胞子虫類が胞子虫から区別されてアセトスポラ(奇妙な胞子の意)類が立てられた。また1960年代から1970年代にかけてToxoplasma属やSarcocystis属などの生活環が解明されたことによって分類体系が整理され、住肉胞子虫類のほとんどはコクシジウム類と見なされるようになった。すでに述べたとおり微胞子虫と粘液胞子虫も分離されたため、かつての胞子虫綱は系統を異にすると思われる4つの門に解体されることになった。 1980年代以降、分子系統解析によって系統関係を実証することができるようになり、ここに示した体系はその後の検討によって若干の変更を受けている。パーキンサス綱はアピカルコンプレックス類似の構造を持つことから胞子虫とともにアピコンプレクサ門にまとめられたが、系統解析はむしろ渦鞭毛虫との近縁性を示したため現在では含めないことが多い。アセトスポラ門については懐疑的な意見が強く、略胞子虫類とパラミクサ類に分けて取り扱われることも多い。分子系統解析からは、少なくとも略胞子虫類はケルコゾア門に含められることがわかっているが、パラミクサ類については解釈が分かれている。放線胞子虫は粘液胞子虫の生活環の一部であることが判明したため、現在では放線胞子虫類を分類群として用いないことが多い。 かつての胞子虫綱の主要な分類群と現在の所属分類群界門綱簇虫 原生生物 アピコンプレクサ グレガリナ Gregarinea 球虫 コクシジウム Coccidea 住肉胞子虫 血虫 住血胞子虫 Haematozoea 略胞子虫 ケルコゾア アセトスポラ Ascetosporea 粘液胞子虫 動物 ミクソゾア 粘液胞子虫 Myxosporidea 放線胞子虫 微胞子虫 菌 微胞子虫 微胞子虫 Microsporea らせん胞子虫 植物 緑藻植物 トレボウクシア藻 Trebouxiophyceae
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