背守り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/19 02:07 UTC 版)
背守りは着物の背中につける飾りで「背紋飾り」とも言い、正装にも普段着にもつける。大人の紋付では背紋をつける場所に、刺しゅうや小型のぬいぐるみ飾りをつける。 背のない着物から魔が差すと言い伝えられてきた。兵庫県姫路市城南の伝承ではこれである。着物の背中の縫い目は「目」であり、魔物を睨んで退散させるとされた。3歳くらいまで着る一つ身の着物には背縫いがないため、背守りをつける。赤色には呪術的な意味があるとの伝承もあったため、赤い糸での縫い取りや赤い布の端切れが使われることもあった。一つ身よりも年長用の三つ身や四つ身など、背に縫い目がある着物には背守りはつけない。 城南の地方ではモンカザリとか、モリヌイと呼ぶ。沖縄ではマブヤーウー(魂護)と言い、赤糸の束や四角い布切れを縫い付けた。 あるいは虫よけである。 また背守りがあると子供が溺れた時など危機に陥った時に、荒神や産神が引っ張り上げてくれると信じられてきた。三重県松阪市の伝承はこれである。三重県松阪市ではセジルシ。 背守りは一般に幾何学的な紋で、ぬいぐるみ形(お守りの意味)は昭和時代後半には珍しいものとなった。または、巾着に米や豆を入れた。 鎌倉時代の『春日権現験記絵巻』には背守りをつけた子供が書かれているとされる。1670-1690年代の色絵碁盤童子置物(いろえごばんどうじおきもの)には、柏の葉のような模様の袋が縫い付けてある。明治時代には学校教育で背守りの縫い方が教えられ、明治後期には呪術的な部分が離れ、手芸技術の向上という側面が強くなってくる。真成寺の百徳着物では、昭和時代には背守りのないものが見られるようになる。 また、染色作家の鳴海友子は古い子供の着物を収集しており、当時の実物が集まっている。
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