背信的悪意者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 15:18 UTC 版)
第一譲受人が登記を備えていない場合でも、第二譲受人が、第一譲渡がされたことを知っており(悪意)、かつ信義則に反するような動機・態様で譲り受けた者(背信的悪意者)であるときは、第一譲受人は、登記がなくても第二譲受人に対抗できる(判例・通説)。もっとも、背信的悪意者から買い受けた者が善意であれば、その者には対抗できない(最判平成8年10月29日民集50巻9号2509頁)。 物権変動を対抗するために登記を要する「第三者」とは、物権変動の当事者本人及び相続人などのその包括承継人以外の者であって、登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有する者、とされている。これは、一般的な用語法において「第三者」という語句の持つ意味である当事者(及びそれと同視される者)以外の者、という要件に加えて、登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有する者、という要件を加えていることになる(結果、含まれる者を限定している)。これは、177条の趣旨は、物権変動が問題になっている場面で、当該物権変動が認められることについて法律上の利害関係を有する者を保護することにあることから、正当の利益を有さず保護に値しない者を第三者に含める必要がないことを根拠として、縮小解釈がなされるものである。 背信的悪意者であっても、物権変動の当事者及びその包括承継人以外の者ならば、その物権変動が認められれば物権者としての地位に影響を受ける立場にあることから、法律上の利害関係は有していると言える。しかし、自分が第二譲受人であることを知った上で信義則に違反するような動機・態様で譲り受けた者が有する「利益」は、法律上、正当なものとはいえず、これにより「第三者」とはいえないと解されている(この場合は、その第二譲受人に対しては、第一譲受人は登記の具備なくして物権変動の効果を主張できる)。 なお、この背信的悪意者排除の理論は債権の二重譲渡の場合にも妥当する。すなわち、467条2項の「第三者」とは、債権譲渡の当事者及びその包括承継人以外の者であって対抗要件欠缺を主張するにつき正当の利益を有する者と定義され、背信的悪意者はこれに該当しないとされるのである。
※この「背信的悪意者」の解説は、「二重譲渡」の解説の一部です。
「背信的悪意者」を含む「二重譲渡」の記事については、「二重譲渡」の概要を参照ください。
背信的悪意者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/30 05:37 UTC 版)
不動産の物権変動で、事実を知っていて、その物権変動についての登記の欠缺を主張することが信義則に反すると第三者から除外される程度にまで著しい悪意者をいう。不動産登記法は、詐欺・強迫により登記の申請を妨げた第三者および他人は、登記があっても登記義務者に対抗できないとしている。
※この「背信的悪意者」の解説は、「悪意」の解説の一部です。
「背信的悪意者」を含む「悪意」の記事については、「悪意」の概要を参照ください。
- 背信的悪意者のページへのリンク