刑法との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 15:18 UTC 版)
民法上の優劣関係とはまた別途に、二重譲渡を行った場合に、譲渡人または第二譲受人に関し横領罪・背任罪(またはその共犯)などの成否が問題となりうる。 判例・通説によると、譲渡人に関しては、委託物横領罪が成立(動産の場合は契約時、不動産の場合は登記時)すると解されている(最判昭和30年12月26日刑集9巻14号3053頁)。 他方、第二譲受人については、登記を経ることによって第一譲受人に所有権の取得を対抗できる立場にあり、民法上適法な行為をしたにすぎず、これを可罰的と解するべきではないため、譲渡人との間で横領罪の共同正犯または教唆犯は成立しないとされる(最判昭和31年6月26日刑集10巻6号874頁)。ただし、第二譲受人が背信的悪意者に該当するときは、もはや保護すべき理由はなく、横領罪の共同正犯または教唆犯が成立しうると解されている(福岡高判昭和47年11月22日月報4巻11号1803頁)。 なお、抵当権の二重設定の事例では、委託物横領罪ではなく背任罪が成立するものとされる(最判昭和31年12月7日刑集10巻12号1592頁)。
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