職務質問の要件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/13 16:52 UTC 版)
職務質問を適法に行うことのできる要件は、以下のとおり、警察官職務執行法2条1項に細かく定められている。 異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者 既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者 1. は、挙動不審者に対する質問を規定し、2. は、犯罪に関係する者への質問を規定している。1. の要件は、不審事由(ふしんじゆう)といわれる。 このように、警察官職務執行法第2条1項に明記されている、職務質問に必要な「停止と質問」の要件は相当に厳しい。 これらの要件が備わっているかどうか(適法な職務質問かどうか)は、職務質問をする警察官の主観的判断によって決定されるのではなく、「普通の社会人がその場合に臨んだら当然にそう考えたであろう客観性」が必要という事になっている。このように、客観的に要件が備わっていることが要求されるため、単なる主観だけの職務質問は許されないが、警察官独自の知識、経験その他の自身だけが知りうる情報を併せて合理的な不審点が認められる場合は許される。 しかしながら、現実の職務質問においてこれらの要件は守られておらず、警察官はとにかく無差別に通行人を呼びとめて質問しているという見解がある。また、「職務質問の違法性」が判決において認められるケースが後を絶たない。例えば、明確に所持品検査を拒否されたにもかかわらず、令状を取らないまま荷物を検査し発見された犯罪行為の証拠品について、当該所持品検査は違法であるとした裁判例(京都地裁)がある。
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