繰り返しゲーム理論への貢献
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 17:01 UTC 版)
「ゲーム理論」の記事における「繰り返しゲーム理論への貢献」の解説
「繰り返しゲーム」も参照 1990年代以降に日本人経済学者が特に活躍した分野として繰り返しゲーム理論の理論が挙げられる。特に神取道宏(東京大学)が1990年代から2000年代にかけて発表した一群の研究は国際的に高く評価され、サーベイ論文は繰り返しゲームを概観した標準的な資料としてノーベル賞選考委員会からも引用されている。また、私的観測下(英: with private monitoring)における繰り返しゲームの均衡は完全観測や公的観測のケースに比べて均衡を発見するのが格段に難しくそれ自体が長い間有名な未解決問題として残っていたが、1998年に当時東京大学の大学院生であった関口格がそれを解決している。この他にも松島斉(東京大学)がシグナルの精度が低い場合のフォーク定理を証明する等、繰り返しゲームにおいて幾つかの重要な貢献をしており国際的にも高く評価されている。また、金子守(当時筑波大学)と松井彰彦(東京大学)は共著論文Kaneko & Matsui 1999において限定合理的なプレイヤーを仮定した繰り返しゲームへの新しいアプローチである"inductive game theory"を提唱した。均衡点選択の理論では、梶井厚志(京都大学)がモリスとの共同研究によって情報頑健性というアプローチを確立し、国際的に高い評価を受けた。完全均衡点はプレイヤーの合理性の微小な不完全性を想定するが、プレイヤーの知識の不完全性は考慮しない。これに対し、梶井らによる頑健均衡はプレイヤーのもつ知識構造のわずかな不完全性に対して安定な均衡である。Kajii & Morris 1997はリスク支配と関連するp-支配均衡の概念を提示し、p-支配均衡が情報頑健性を満たすことを証明した。
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