繁殖と子育て
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/01 02:55 UTC 版)
複雑な繁殖システムを有する。当初、一夫一妻と考えられてきたが、一夫多妻、あるいは一妻多夫が観察された例もある。それでもなお、多くの例では一夫一妻である。繁殖に関わるメスが二頭いる場合でも、劣位のメスはそのほかの群れのオスと交尾をする事が多い。劣位のメスは繁殖しても子供は状態がすぐれない事が多い。しかし、他の群れのオスと交わる事で、将来的に安定な繁殖相手を見つける事にもつながる。子供を持ったのにもかかわらず、その子が死んだ場合、他の群れに移ってそこで優位な繁殖個体となる場合もある。 繁殖に関わるペアは、子育てに他の個体からの援助を得る必要がある。そのため繁殖に関わる個体は、その他の個体の繁殖を行動的、また生理的に抑制する。繁殖が抑制された個体にとっても、通常、繁殖に関わるペアと血縁関係にあることが多いため、遺伝的なつながりがある子を育てることになる。また、血縁関係にあるオスの存在は、メスの排卵に影響する。実験環境下では、父親の存在により娘に当たるメスの排卵が抑制されるが、血縁関係にないオスの場合は、抑制されなかった。また、メスは母親に対して攻撃的態度をとることがあり、その地位を追い去ることもある。 適切な条件下では、成熟したメスは定期的に繁殖し続ける。メスはオスに対して舌を突き出すことで交尾を誘う。妊娠期間は5ヶ月であり、出産後およそ10日で再び交尾ができるようになる。そのため、出産間隔は5ヶ月となり、年2回出産することとなる。マーモセットは通常、二卵性双生児を生む。そのため、妊娠期間と哺乳期間のメスの負担は多く、他個体からの援助が必要となる。幼獣は母親の背中に本能的にしがみつき、生後2週間は離れることがない。それ以降は親から離れるようになる。それとともに繁殖に関わるオス(おそらく父親)が世話に参加するようになり、やがて群れ全体がそれに参加する。それから数週間の間、幼獣が母親の背中で過ごす時間は減り、動き回ったり遊んだりする時間が増えていく。幼獣は3ヶ月で離乳する。5ヶ月には若年期に入る。この段階では、両親以外の個体との相互作用が増加する。乱暴な行動も観察され、それが将来の社会的地位につながっていく。次の子供が生まれると、その子供たちを運んだり一緒に遊んだりする。マーモセットは9から14ヶ月の間に亜成体となり、大人としての行動を示し、また思春期を迎える。15ヶ月になると成獣のサイズになり、性的にも成熟するが、社会的に優位にならないかぎり繁殖はできない。
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