総需要曲線の構成について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/01/04 05:19 UTC 版)
総需要曲線は経済の個々の部門の需要曲線の合計として表される。総需要は通常、以下のように4つの個々の部門の需要の合計として表される。 A D = C + I + G + ( X − M ) {\displaystyle AD=C+I+G+(X-M)} ただし C {\displaystyle C} は消費支出。ただし消費支出は a c + b c ( Y − T ) {\displaystyle a_{c}+b_{c}(Y-T)} によって与えられ、 Y {\displaystyle Y} は消費者所得、 T {\displaystyle T} は消費者によって払われた税。 I {\displaystyle I} は投資支出。 G {\displaystyle G} は政府支出。 N X = X − M {\displaystyle NX=X-M} は純輸出。ただし、 X {\displaystyle X} は総輸出。 M {\displaystyle M} は総輸入。総輸入は a m + b m ( Y − T ) {\displaystyle a_{m}+b_{m}(Y-T)} によって与えられる。 これらの4つの部門は、さらに名目と実質の2通りに書くことができる。 消費支出( C {\displaystyle C} )は、家計による需要である。家計の消費の決定は消費関数によって表される。消費関数とは C = a + M P C × ( Y − T ) {\displaystyle C=a+MPC\times (Y-T)} というように表される。ただし、 a {\displaystyle a} は基礎消費(英語版)(独立消費)で、 M P C {\displaystyle MPC} は限界消費性向、 ( Y − T ) {\displaystyle (Y-T)} は可処分所得。 (グロス(英語版)の、あるいは総)民間国内投資( I {\displaystyle I} )は、例えば企業による工場の建設などを指す。総民間国内投資( I {\displaystyle I} )にはすべての民間部門の将来の消費を目的とした支出が含まれる。ケインズ経済学では、すべての総民間国内投資が総需要とされるわけではない。在庫投資には需要の減少によるものが含まれているとされる(「意図されぬ在庫の増加」あるいは超過生産)。ケインズ経済学のモデルは、在庫投資、特に意図されぬ在庫の増加がある場合、一国の生産量と所得が減少することを予想している。(在庫の増加は財の超過供給に対応する。en:National Income and Product Accountsにおいては、在庫の増加は生産者による購入として扱われている。)よって、総民間国内投資のうち、ただ「意図された」投資( I p {\displaystyle I_{p}} )のみが総需要として扱われる。 投資支出は生産量と利子率( i {\displaystyle i} )に影響される。よって、投資支出を I ( Y , i ) {\displaystyle I(Y,i)} と書くことができる。投資支出は生産量と正の関係を持っており、利子率とは負の関係を持っている。例えば、利子率の上昇は総需要減少の原因となる。 利子のコストは借入費用の一部であり、利子率が上がると、企業・家計の双方が支出を切り詰める。これは総需要曲線を左にシフトさせる。この総需要曲線の左シフトは均衡GDPと潜在GDPの双方を減少させる。企業の生産が減少すると、企業は労働者の解雇を始め、失業率が上昇する。この需要の減少が物価水準も引き下げ、経済は景気後退に突入する。 総政府投資、政府消費、政府支出は G {\displaystyle G} で表される。 (ネットの、あるいは純)輸出は N X {\displaystyle NX} で表される。純輸出は時に X − M {\displaystyle X-M} とも表される。これは、他国からのその国の生産量に対するネットの需要を示す。 これらを合計して、ある与えられた時点のある国の総需要( D {\displaystyle D} あるいは A D {\displaystyle AD} )は C + I p + G + ( X − M ) {\displaystyle C+I_{p}+G+(X-M)} で与えられる。
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