総合学科の問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/10 07:55 UTC 版)
転任教員の多くは総合学科教育に関する知識やスキルを持ち合わせていないまま総合学科高校に勤務することになる。結果、総合学科を自ら希望する教員は減り、異動により総合学科創設時の立ち上げに尽力した教職員が転勤してしまうと、様々な取り組みがトーンダウンし、形骸化してしまう可能性がある。 総合学科は、選択科目の募集や、複合的な教育を行う関係上、卒業後の就職や進学に対して不利となる可能性が存在する(必要な単位数が足りないこともある)。大学入学者の選抜状況をみると、総合学科卒業生を対象とした選抜制度は限られる。平成24年度国公私立大学入学者選抜実施状況によれば、「専門高校・総合学科卒業生入試」として入学者選抜を実施したのは国公立大学9大学10学部、私立大学31大学57学部となっている。この数は10年前とあまり変わらず、総合学科高校の設置数が約2倍に増えているのとは対照的である。但し、関係する専門科目を25単位(或いは20単位など)を履修していれば専門高校卒業生入試を受験できることも多い。 また総合学科単体での募集を行う高校は非常に少ない。 学校側は「生徒が目的意識や進路への自覚を持たずに入学しており、自主的な科目選択が難しい。単位取得の容易な科目を選択しがち」と感じており、生徒・卒業生の側も「進路について、じっくりと考える時間がない」ことを最大の不満として挙げている。 入試選抜では、大阪府の場合、ボーダーゾーンの幅を「定員数の上下30%(定員内15%と定員外15%)」と広くもたせている(普通科は5%幅)。同様に内申書の比率を重視する神奈川県などに比べ、平均を下回る生徒が入学することも一因となっている。 なお、同府の場合、総合学科を高校再編・教育困難校改革のシンボルと位置づけた。教職員数を補うため同和加配枠も活用し、スタートさせた第1陣の大阪府立柴島高等学校・大阪府立松原高等学校・大阪府立今宮高等学校が成功例となったが、その反動で、府の高教組が「学区ごとに総合学科を」との方針を掲げたため、結果、再編の趣旨とは異なり、総合学科に改編できなかった高校が総合選択制や単位制に流れた、という状況を生んだ。
※この「総合学科の問題点」の解説は、「総合学科」の解説の一部です。
「総合学科の問題点」を含む「総合学科」の記事については、「総合学科」の概要を参照ください。
- 総合学科の問題点のページへのリンク