統合教育との齟齬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 05:59 UTC 版)
「年齢主義と課程主義」の記事における「統合教育との齟齬」の解説
統合教育の考え方においては、障害を持つ生徒であっても特別支援学校から普通学校の特別支援学級へ、特別支援学級から普通学級へと統合するのがベターであるとされる。そして実際に、授業を受けるのに大きな支障がある障害児者でも普通学級で他の生徒と共に教育を受ける例が多くなってきている。これは、公立の小中学校においては適格者主義ではなく、生徒同士がお互いの違いを認め合うことで、人間的な発達を促進させるなどの意図から、積極的にハンディキャップを持つ生徒と混じって授業を受けさせる取り組みが行われている。 しかしながら、これは障害児と健常児の統合であるに過ぎず、年齢に差のある健常者同士の統合にはなっていない。本来、重度の発達障害を抱えている生徒を授業に参加させる労力よりも、たった1歳年上である健常な生徒を授業に参加させる労力の方がはるかに少ないはずである(そもそも、体育以外の授業においては年齢差はまったく支障にならない)。しかしながら、現実には「年齢相当学年」の重度障害児よりも、学齢を超過している健常者の方がずっと普通学級への在学が困難である。 統合教育の本来の考え方から言えば、違いに対する許容が前提であるのだから、重いハンディキャップがある生徒が学校に受け入れられるのであれば、当然異年齢の健康な生徒も受け入れられるはずである。これが実際にはそうなっていない点について、年齢主義と統合教育の間で齟齬が生じている。障害児を特別支援学校に隔離しようとする動きに対しては、人権面で強い非難がなされることもあるが、一部自治体で行われている、学齢超過者を夜間中学に隔離しようとする動きに対しては、一部識者を除いてあまり表立って問題視してはいない。 ただし、日本における統合教育の取り組みはまだ日が浅く、試行錯誤の状況でもあるため、上記の事実は必ずしも統合教育関係者側の問題とも言い切れない。
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