終盤の目算
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/20 14:27 UTC 版)
終盤の目算は終局時点の地の大きさの予想であって、終局までの読みに近い意味でも用いる。主にヨセが行なわれる終盤では、地の損得を考慮して 死活に関する手 両先手ヨセ 先手ヨセ 逆ヨセ 後手ヨセ の順に着手する場合が多い。1や2が残っている段階では地の計算より読みが問題になるが、その読みの中で予想した将来の局面の評価には目算などの形勢判断を用いる。1と2を終えた後の目算では、以下の考え方を採る場合が多い。 先手ヨセは先手でヨセができる側の権利と考え、先手ヨセが打たれたものとして目算する。ただし先手ヨセをコウ材に使う必要があったり、先手ヨセを打つことが相手を固めて強い石にする場合があるので、先手ヨセを保留することもある。 自分の手番で逆ヨセが打てる場合、最大の逆ヨセと最大の後手ヨセを比較して、逆ヨセ・後手ヨセのどちらを打つか決める。一般に逆ヨセはその目数の2倍の後手ヨセに相当すると考えられるが、ヨセの箇所が限られているとこの計算は必ずしも成り立たない。例えば黒に逆ヨセ2目と後手ヨセ10目と後手ヨセ11目が残されていれば、「黒逆ヨセ2目、白後手ヨセ11目、黒後手ヨセ10目で黒1目得」、「黒後手ヨセ11目、白先手ヨセ2目、白後手ヨセ10目で黒1目損」なので、黒は逆ヨセ2目を選ぶ。この判断に基づいて目算する。 後手ヨセは双方がヨセた場合の中間の形を想定して目算する(「サガリサガリ法」を参照)。 この考え方で、後手2目と先手1目と逆ヨセ1目とがほぼ等価であると分かる。アマチュアの場合、半目勝負やジゴ一でない限り、最悪でも1目の損に過ぎないから、それらの比較は滅多にしない。比較する必要があれば目算では済まず、終局までのヨセを読みきる必要が生じる。 実戦に生じやすい後手1目よりも小さいヨセの例に半コウがある。半コウの大きさは、半コウを取る側に3分の1目の地があるとして計算する。 実際はヨセの過程で死活など石の強弱に関わる問題が発生する場合があるので、終盤の形勢判断も単なる目算では済まない場合が少なくない。
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