第三章 灯台へ
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『灯台へ』の最終章では、生き残ったラムジー一家と何人かの客達が、第一章で皆が集まった時点から10年後に、夏の別荘に再度集まった。ラムジー氏はついに娘のカム(カミラ)と息子のジェームズ(他のラムジー氏の子供達の存在は、最終章では言及されていない。)を灯台につれて行くことを、10年越しに計画する。灯台への訪問は、子供達が準備をしていなかったため実現しないようにも思われたが、最終的には決行された。その訪問中、子供達は、彼らを無理矢理連れてきた父へ反発し、沈黙していた。しかし、ジェームズがボートをうまく操作すると、父からは彼が予測したような厳しい言葉でなく、逆に賞賛の言葉をもらった。このことで、珍しく父と息子の間に共感の気持ちが生まれ、娘、カムの父に対する態度も、怒りから最終的に敬愛へと変わった。 彼らには、漕ぎ手のマカリスターとその息子が同行した。その息子は旅中に魚を捕まえた。彼は、捕まえた魚から釣り餌のための肉塊を切り取り、傷ついた魚を海に帰した。 彼らが灯台へ漕ぎ進んでいく中、リリーはついに、小説の最初の頃から心に留めていた肖像画を完成させようと試みた。彼女は、ラムジー夫妻に関する彼女の記憶をもう一度思い出し、10年前の様々な印象を加味することで、ラムジー夫人と人生に関する客観的な真実に近づこうと努力した。絵を描き終わった頃(ちょうどボートに乗ったラムジーらが灯台に着いた頃でもあった。)、その絵に満足させられた彼女は、なにか過去の遺産を画中に残す事よりも、自分のヴィジョンをそのまま投影することが自分にとって一番重要なことだと気づいた。
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