立体感表現のための明暗法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 08:52 UTC 版)
「キアロスクーロ」の記事における「立体感表現のための明暗法」の解説
絵画・素描・版画における光の効果を使った立体感表現法を明暗法という。3次元の質感は陰影(shading)によって表現される。この技法は中世に発達し、15世紀初期にはイタリアやフランドルの絵画および装飾写本でスタンダードな技法になっていて、それから西洋絵画にあまねく広まった。 図に示したラファエロの絵には2つの明暗法が使われている。 左から射す光によって、明暗が漸次的変化(グラデーション)して、人物に量感を与えている。 明るい人物と暗い群葉の背景との間に強烈な明暗のコントラストがある。 この文脈での明暗法は前者の立体感表現法であり、後者は構成的な明暗法と言える。 イングランドの細密肖像画家ニコラス・ヒリヤード(Nicholas Hilliard)は明暗法による立体感表現に反対で、論文の中で、ヒリヤードが最低限使っている以上の明暗法の使用に異議を唱えたが、それはパトロンであったエリザベス1世の意見を反映したものだった。「そのものを一番良く魅せるのに必要なものは、物の影ではなく開放的な光と考えます。ですから、女王陛下がお座りになる場所は、近くに木などない、いかなる影もない、美しいお庭の広々とした小道こそお相応しい」。 素描や版画のハッチングでも明暗法による立体感表現が使われることが多かった。
※この「立体感表現のための明暗法」の解説は、「キアロスクーロ」の解説の一部です。
「立体感表現のための明暗法」を含む「キアロスクーロ」の記事については、「キアロスクーロ」の概要を参照ください。
- 立体感表現のための明暗法のページへのリンク