窯跡出土埴輪の重要文化財指定
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「生出塚埴輪窯跡」の記事における「窯跡出土埴輪の重要文化財指定」の解説
2005年(平成17年)6月9日付けで、生出塚遺跡から出土した埴輪41点、土師器5点、石製品6点および埴輪残欠18点が「埼玉県生出塚埴輪窯跡出土品」の名称で重要文化財に指定された(埴輪残欠18点は附指定)。所有者は鴻巣市である。指定された埴輪のなかでも武人埴輪1体と貴人埴輪3体は、それぞれ像高130センチメートル前後の全身像を表した人物埴輪の優品である。 武人埴輪は、頭部に冑をかぶり、肩と胴部には甲をつけ、腰の大刀に手をかけた体勢をとっている。脚部は袴を膝の部分でくくり、細かい線で格子状の幾何文様を描いたうえで市松模様で赤色塗彩が施されている。甲冑、顔面、腕、大刀も赤彩がなされている。 3体の貴人像は、当時の男子正装による文人像である。首飾りと耳飾りをつけ、両手を腰に置くなど3体ともほぼ同じ姿勢が取られている。うち1体は頭巾状の帽子をかぶり、他の2体は振り分け髪となっており、いずれも美豆良(みづら)を結っている。脚部は武人像同様に市松文様が描かれるほか、棒縞文様も描かれている。この3体は同じ窯跡(生出塚15号窯)の中央部に並べられた状態で出土しており、焼成後、窯から出された状態でそのまま放置されたものと考えられている。 これらの埴輪は、彩色の残りもよく、当時の窯業技術の高さを物語る優品であるとともに、用いられた古墳の所在も判明しており、窯跡出土の埴輪として、埴輪の生産と供給関係を知る上で欠かすことのできない基準資料である。鴻巣市では、2007年(平成19年)度から2013年度まで7年間の国庫補助事業として「埴輪修復作業」をおこなっている。 重要文化財に指定された出土品は、現在、クレアこうのすの歴史民俗資料コーナーに展示されている。 貴人埴輪鴻巣市文化センター「クレアこうのす」展示(他画像も同様)。 貴人埴輪 貴人埴輪 武人埴輪 小型人物埴輪 動物埴輪 器財埴輪・円筒埴輪
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