私人間での人権侵害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 10:15 UTC 版)
一般的意味で使われる「人権蹂躙」・「人権侵害」は、この問題を指すことが多い。 憲法の規定は、国家権力の干渉から私人の活動を守るために設けられている。そして、一般に私人間の関係については、国家による干渉を排除した私的自治の原則(自由放任)に委ねられてきた。しかしその結果、私人間であっても、対等な個人の間の関係とは異なる関係(たとえば、巨大企業と労働者・消費者や、私立学校と学生など)が生じるようになった。このような、社会的・経済的な強者と弱者との間の支配従属関係が生じたことで、社会権、労働三権、生存権などの新しい人権が、第二次世界大戦後に制定された日本国憲法でも詳細に設けられた。 もっとも、日本国憲法の定める規定は、一般には、「抽象的権利」または「プログラム規定」であると考えられており、憲法の規定を具体的権利としてみる見解は一般的ではない。つまり、具体的な権利を規定する法律が制定されない限り、個々人に具体的な権利を付与されたものではないと、通説的には解釈されている。その裏返しとして、日本の裁判所が「人権侵害」にあたるか否かについての法的判断を行う場合には、私的自治の原則・契約自由の原則への配慮から、具体的な法の一般条項の解釈・適用において憲法の趣旨を考慮するに止まる(私人間効力参照)。
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