福岡正信とは? わかりやすく解説

福岡正信

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/05 00:45 UTC 版)

2002年10月撮影

福岡 正信(ふくおか まさのぶ、1913年2月2日 - 2008年8月16日)は愛媛県出身の農学者自然農法を提唱した。 世界各地で粘土団子による砂漠緑化にも取り組んだ。

人物

愛媛県伊予郡南山崎村(現・伊予市大平)に生まれる[1]旧制松山中学校岐阜高等農林学校(現・岐阜大学応用生物科学部)卒[1]

若い頃は横浜税関の植物検査課に所属していたが、急性肺炎にかかり死に直面すると、「この世には何もない」と悟り、仕事をやめて地元に戻り農業を始めた。「やらなくてもいい」ことを探しながら、自然農法を確立した[2]

著作『無Ⅲ 自然農法』の口絵の説明では、不耕起(耕さない)、無肥料、無農薬、無除草を四大原則とする自然農法を行うとしているが、著作中には肥料[3]農薬除草剤、除虫剤)[4]の使用について記述がある。

穀物の栽培は、米麦連続不耕起直播で行う。 米麦連続不耕起直播は、稲刈り前に裸麦の種の粘土団子とクローバーの種を蒔き、稲刈り後に稲わらを撒く。麦を刈る前に稲の粘土団子を蒔き、刈った後に麦わらを振りまくという栽培技術である[5]

ケニアなど十数カ国で粘土団子による砂漠緑化を試みた[6][7][8][9]。東南アジア諸国では、粘土団子方式で荒野がバナナ畑や森として甦った[10][11]

1988年ロックフェラー兄弟財団の出資で発足したフィリピンのマグサイサイ賞を受賞した。受賞理由として、自然農法が現代の商業的手法とその有害な結果に代わる、実用的で環境的に安全で豊かな選択肢であることを世界各地の小規模農家に示したことが挙げられる[12]

90歳を過ぎ歩行が困難になっても中国の要請に応え[10]、現地で粘土団子の技術指導をした[13]

略歴

著書

論文

本の英語訳

  • 著、Chris Pearce、Larry Korn (ed.)、黒沢常道 : 訳『The One-Straw Revolution: An Introduction to Natural Farming』Rodale Press、USA、1978年(原著1975-9)。ISBN 0878572201 
  • 著、Frederic P. Metreaud : 訳『The Natural Way of Farming: The Theory and Practice of Green Philosophy』(新)Japan publications、Tokyo、New York、1987年(原著1975年12月)。ISBN 978-0-87040-613-3  1985年(初版) ISBN 0870406132
  • 著、Frederic P. Metreaud : 訳『The Road Back to Nature: Regaining the Paradise Lost』Japan publications、Tokyo、New York、1987年(原著1984-8)。ISBN 0870406736 
  • 著、Alfred Birnbaum : 訳『Mu 1 ? The God Revolution』Japan、1994年(原著1964年)。 [21]
  • 『The Ultimatum of God Nature「The One-Straw Revolution」A Recapitulation』Shou Shin Sha (小心舎) (自費出初版)、伊予、1996年。 

脚注

  1. ^ a b 福岡正信について
  2. ^ 福岡正信『自然農法 わら一本の革命』春秋社、2004年、19-20頁。 
  3. ^ 『無3-自然農法』によると、稲・麦作に鶏糞、敷藁、麦作の元肥として石灰窒素、そのほかに木鋸屑、チップ樹皮屑など。
  4. ^ 『無3-自然農法』によると、麦作にシアン酸ソーダ、柑橘果樹のヤノネ貝殻虫対策としてマシン油乳剤石灰硫黄合剤、やむをえない場合は野菜に銅・亜鉛剤、植物剤(除虫菊デリス煙草)、石灰硫黄合剤、動植物油乳剤、マシン油乳剤、燐剤(ネコイラズ)などを用いるとある。
  5. ^ 福岡正信、段本幸男「対談:全ては地球緑化に始まる」『ARDEC』第17号、1999年12月、11頁、2024年12月15日閲覧 
  6. ^ 「粘土団子で虹よ架かれ ケニアの砂漠緑化ストップ 横浜アートプロジェクト」朝日新聞朝刊2006年8月29日 田園・浜・川・2地方 30面
  7. ^ 「「種で緑化」支援を 有志ら提供呼びかけ/群馬」朝日新聞朝刊2002年3月22日 群馬 34面
  8. ^ 「砂漠の団子」夕刊1面 窓・論説委員室から、『朝日新聞』1999年7月19日。
  9. ^ 「生ごみの種が世界を緑化」朝日新聞朝刊2002年10月28日 15面
  10. ^ a b 朝日新聞2005年「ひと」コラムより
  11. ^ “楽園”をつくる自然農法家:川口 由一”. 2024年12月15日閲覧。
  12. ^ Fukuoka, Masanobu - Ramon Magsaysay Award Foundation Philippines”. 2024年12月15日閲覧。
  13. ^ 世界を変える100人の日本人! JAPAN☆ALLSTARS 認定者リスト 2010.6 6/18::自然農法創始者 福岡正信”. 2024年12月15日閲覧。
  14. ^ 日本の哲人・福岡正信氏の自然農法 - 砂漠の緑化へ”. 2024年12月15日閲覧。
  15. ^ アース・カウンシル賞の日本人授賞式について”. 環境庁. 2024年12月9日閲覧。
  16. ^ 自然農法を提唱 福岡正信さんが死去”. 2008年9月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月25日閲覧。
  17. ^ 著者自身が『無I神の革命』の増補改訂版で(2004年版 iv-vページ参照)
  18. ^ 将積睦; 福岡正信 著「『いろは革命歌』発刊によせて」、井谷カヨコ、野村美詠子 (翻訳)、矢島三枝子 (翻訳)、益田明美、阿部悦子、将積睦 (解説冊子)、Michael T. Seigel (翻訳): 編(二言語 英語訳)『いろは革命歌 Iroha Revolutionary Verses』(自費出初)自然樹園 (小心舎)、伊予、2009年2月2日、3・6頁。ISBN 978-4-938743-03-1 
  19. ^ a b c 著者自身が『自然に還る』の増補改訂版で(2004年版430ページ参照)、社会観123、人生観123という分類を行っている。
  20. ^ 『神と自然と人の革命』で著者自身が『無』3巻をそれぞれ、宗教編、哲学編、実践編と分類している。
  21. ^ 画像:福岡正信 (英語訳)『Mu 1-The God Revolution』、アルフレッド・バーンバウム :訳、日本:?出版元?、1994年/「1964」。 -Amazon.com

関連文献


関連項目

  • 自然農法
  • 粘土団子
  • 岩澤信夫 - 不耕起移植栽培を提唱し普及活動を展開している農業技術者。福岡の著作から不耕起という概念を学んだ。

外部リンク


福岡正信

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 15:59 UTC 版)

自然農法」の記事における「福岡正信」の解説

1937年実験的に自然農法始める[要出典]。「不耕起耕さない)、不除草除草しない)、不施肥肥料与えない)、無農薬農薬使用しない)」を特徴とする[要出典]。高知県農業試験場勤務経て1947年から自然農法活動専念する栽培形態が最も自然に近い[独自研究?]独創的な農法実践普及多様な植物の種子を百種類以上集め粘土と共に混合団子状にした粘土団子作ったことでも知られる

※この「福岡正信」の解説は、「自然農法」の解説の一部です。
「福岡正信」を含む「自然農法」の記事については、「自然農法」の概要を参照ください。

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