社会学的実証研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 08:51 UTC 版)
社会学者の岩井阿礼が、男性同性愛ファンタジー愛好者女性(腐女子)に関する社会学的実証研究をおこなっている。岩井は、1991年から1992年にかけて、腐女子と一般女性を対象としたアンケート調査をおこなった。 まず、性役割に対する態度が測定(MHF-scale)された。その結果、両群は、「男らしさ」と「女らしさ」のすべての項目で有意な違いを示した。腐女子は一般女性に比べ、個人的には「男らしさ」を高く評価し、「女らしさ」には低い評価を与える傾向が強かった。ところが、一般に世間から女性として望まれる性質としては、一般女性よりも「女らしさ」を評価する傾向が強かったのである。 次に、両群の女性がパートナーとして好む類型と、結婚後のライフコースの希望が比較された。腐女子は家父長型の男性を嫌う一方、友愛型・主夫の男性を選ぶ傾向が一般女性よりも強かった。また、腐女子は結婚後も仕事を続けたい意向が一般女性よりも強かった。 @media all and (max-width:720px){body.skin-minerva .mw-parser-output div.mw-graph{min-width:auto!important;max-width:100%;overflow-x:auto;overflow-y:visible}}.mw-parser-output .mw-graph-img{width:inherit;height:inherit} 岩井(1995)腐女子と一般女性のライフコース選択①独身で、仕事を続けたい。②結婚して、子供はつくらず、仕事を続けたい。③結婚して、子供もつくり、仕事も続けたい。④結婚したら、仕事を止める。⑤結婚して、子供が出来たら、仕事を止める。⑥結婚したら、仕事を止めるが、子供がある程度大きくなったら仕事を続ける。⑦結婚して、子供が出来たら仕事を止めるが、子供がある程度大きくなったら仕事を続ける。⑧専業主婦 岩井は、腐女子は一般女性に比べて、①女性も社会進出して、家事・育児は夫と分担するべきであるというような非伝統的な立場をとっていて、②家庭における伝統的な性役割を担うことを嫌う傾向があり、③一方で、そうした態度は本来女性に求められる役割とは違い、自分は女らしくないと考えているために、両者の板挟みになっていると結論し、一旦女性という記号から離れ、「「対等な対」のあり方に思いをめぐらせる思考実験あるいは避難の場として、「男性同性愛」という形式を、必要とした」のだと推測している。
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