登場する神
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/15 15:50 UTC 版)
『古事記』や『日本書紀』に登場する神もいくつか登場するが、当風土記にのみ登場する神も多い。ここでは複数の地名説話で名が挙げられた神とその妻や子らのみを挙げる。神名の漢字表記は最初に登場したものを採用し、読みの「のみこと」は省略する。 八束水臣津野命(やつかみずおみつの) 「八雲立つ」の言葉を発し、この国を出雲と命名したとされる。国引き神話において遠方の土地を引っ張って出雲国を形成した。『古事記』のスサノヲの系譜に名の見える「淤美豆奴神」と同一神と見られる。 子に以下の神がいる。赤衾伊農意保須美比古佐和気能命(あかぶすまいぬおおすみひこさわけ) - 出雲郡伊努郷(妻、天甕津日女命(あめのみかつひめ) - 秋鹿郡伊農郷) 所造天下大神(あめのしたつくらししおおかみ)大穴持命(おおなもち) 当風土記では最も登場回数が多い神である。「越の八口」を平定して出雲に帰還した後に意宇郡母里郷で国譲りの宣言を発した。神門郡を中心として妻問いの説話が多い。大原郡では八十神を討つために行動を起こしている。 妻問いの相手として、奴奈宜波比売命(ぬながわひめ) - 島根郡美保郷、『古事記』の沼河比売。 綾門日女命(あやとひめ) - 出雲郡宇賀郷 真玉著玉之邑日女命(またまつくたまのむらひめ) - 神門郡朝山郷 八野若日女命(やのわかひめ) - 神門郡八野郷 和加須世理比売命(わかすせりひめ) - 神門郡滑狭郷 が登場し、また子に以下の神がいる。山代日子命(やましろひこ) - 意宇郡山代郷 阿遅須枳高日子命(後述) 御穂須須美命(みほすすみ) - 島根郡美保郷、奴奈宜波比売命との子で、建御名方神と同一視されることもある。 和加布都努志能命(わかふつぬし) - 秋鹿郡大野郷、出雲郡美談郷 阿陀加夜努志多伎吉比売命(あだかやぬしたききひめ) - 神門郡多伎郷 意支都久辰為命(おきつくしい) 越の奴奈宜波比売命の祖父 俾都久辰為命(へつくしい) 越の奴奈宜波比売命の父 布都努志命(ふつぬし) 意宇郡の楯縫郷と山国郷に登場する。 神須佐乃烏命(かむすさのお) 記紀と異なり自身の登場回数は少なく、大穴持命との血縁関係は伺えない。意宇郡安来郷、飯石郡須佐郷、大原郡佐世郷と御室山に登場する。須佐郷で自らの御魂を鎮めた。 子として、青幡佐久佐日古命(あおはたさくさひこ) - 意宇郡大草郷、大原郡高麻山 都留支日子命(つるぎひこ) - 島根郡山口郷、難波田使主の系図には神櫛玉命の息子で陶津耳命の兄弟とある。 国忍別命(くにおしわけ) - 島根郡方結郷 磐坂日子命(いわさかひこ) - 秋鹿郡恵曇郷 衝桙等乎而留比古命(つきほことおるひこ) - 秋鹿郡多太郷 八野若日女命(前出、大穴持命の妻問いの相手) 和加須世理比売命(同上) が登場する。また飯石郡熊谷郷には記紀で妻となるクシナダヒメと同一神と見られる久志伊奈太美等与麻奴良比売命(くしいなだみとよまぬらひめ)が登場する。 伊弉奈枳命(いざなぎ) 自身は登場せず、子として以下の神が登場する。熊野加武呂命(くまのかむろ)(熊野大神) - 意宇郡出雲神戸、島根郡朝酌郷、須佐之男命と同一視される。 都久豆美命(つくづみ) - 島根郡千酌駅 阿遅須枳高日子命(あぢすきたかひこ) 神門郡高岸郷と仁多郡三沢郷において父の大穴持命に養育される様子が描かれており、葛城の賀茂社に鎮座していると記されている。 妻として天御梶日女命(あめのみかじひめ)、楯縫郡神名樋山に登場) がおり、子に以下の神がいる。多伎都比古命(たきつひこ) - 楯縫郡神名樋山、天御梶日女命との子 塩冶毘古命(やむやびこ) - 神門郡塩冶郷 神魂命(かみむすび) 自身は楯縫郡の郡名の由来において所造天下大神の宮の造営を命ずるのみで、これ以外は以下に挙げる子らの説話のみとなっている。八尋鉾長依日子命(やひろほこながよりひこ) - 島根郡生馬郷 宇武賀比売命(うむかひめ) - 島根郡法吉郷、『古事記』の蛤貝比売。 枳佐加比売命(きさかひめ) - 島根郡加賀神埼、『古事記』の𧏛貝比売。 天御鳥命(あめのみとり) - 楯縫郡郡名、紀国造系図では彦狭知命の別名とされる。 天津枳値可美高日子命(あまつきちかみたかひこ)(薦枕志都治値(こもまくらしつじち)) - 出雲郡漆治郷 綾門日女命(前出、大穴持命の妻問いの相手) 真玉著玉之邑日女命(同上) 佐太大神(さだのおおかみ) 島根郡加賀神埼で枳佐加比売命が産んだ子。秋鹿郡神名火山に鎮座した。 宇乃治比古命(うのぢひこ) 楯縫郡沼田郷と大原郡海潮郷に登場する。海潮郷では父の須義禰命(すがね)に対して怒り、海水で押し流した。
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