異周波数対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 06:38 UTC 版)
北陸新幹線沿線の商用電源周波数は、群馬県内は50 Hz、長野県内は60 Hz、新潟県内は50 Hz、富山・石川県内は60 Hzとなっている。営業中の新幹線路線で異周波数接続が存在する路線は北陸新幹線が唯一である。異なる周波数の電流が混触すると大電流が流れるおそれがあるため、電気的な絶縁を保ちつつ変電所間での電源系統の切替を行うために、新軽井沢き電区分所(SP)、新高田SP、新糸魚川SPに周波数切替セクションが設けられている。列車の通過に連動して自動的にき電を切り替えるため、新幹線車両はこれらのセクションを力行したまま通過できる。高崎駅 - 軽井沢駅 - 新軽井沢SP間が50 Hz、新軽井沢SP - 佐久平駅 - 上越妙高駅 - 新高田SP間が60 Hz、新高田SP - 糸魚川駅 - 新糸魚川SP間が50 Hz、新糸魚川SP - 黒部宇奈月温泉駅 - 金沢駅 - 白山総合車両所間が60 Hzとなっている。 また、新幹線の保安装置であるATC(自動列車制御装置)では、異周波数電源が突き合わされるSP付近において異周波妨害が起こる。そのため1997年の長野開業時には異周波妨害対策法を開発することで50 Hzと60 Hzの両周波数に対応し、当時東北・上越新幹線で用いられていたアナログATC(ATD-1D)と互換性を持つアナログATC(ATC-HS型、HS-ATC)が導入された。その後東北・上越新幹線で導入が進められたデジタルATC(DS-ATC)は電源周波数が50 Hz用であったため、金沢開業を前に新たに60 Hz対応のDS-ATCが開発され、北陸新幹線に導入された。 なお、新潟県内の50 Hzき電を担う新上越変電所の異常時には、隣接する変電所からの救済き電により、新高田SS - 新糸魚川SS間を60 Hzき電に切り替えることが可能である。そのため、この区間では50 Hzと60 Hzの両対応のATC装置や電気設備が設けられており、周波数に応じて切り替える構成になっている。
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