現実のモデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/16 04:34 UTC 版)
「エマニュエル・ゴールドスタイン」の記事における「現実のモデル」の解説
クリストファー・ヒッチンスは、ゴールドスタインという人物はロシア十月革命の指導者の一人レフ・トロツキーがモデルで、「ゴールドスタインの本」はトロツキーの著書『裏切られた革命』がモデルだと主張する。スペイン内戦でトロツキズムの流れを汲むマルクス主義統一労働者党(POUM)に属したオーウェルはトロツキズムについて次のように述べる。 トロツキストがどこに行っても迫害される少数派だという事実、普通彼らに対して行われる非難(例えばファシストと協力関係にあるなどというもの)が偽りであること。こうしたことはトロツキズムが共産主義、例えばスターリンの支持者たちよりも知的・道徳的に優れているという印象を与えている。しかし両者に大きな違いがあるかどうかは疑わしい。もっとも典型的なトロツキストは元共産主義者であり、何かしらの左翼運動に身を投じていなかったトロツキストは存在しない。さらに、共産主義者も長年の間党に飼い慣らされていない限りは、いつでもトロツキズムに転向する可能性がある。 「ゴールドスタイン」という姓はユダヤ人のもので、同じくユダヤ人であるトロツキーの本名がブロンシュテインだったことを連想させる。名の「エマニュエル」(聖書のインマヌエルより)は「神は共にいる」を表す。姓と名を合わせると救世主的な人格の暗喩となり、トロツキストたちの多くがトロツキーをスターリンの独裁からの救済者だとみたことを連想させる。 兄弟同盟が絶対の服従をメンバーに求める入会儀式には、同盟も「党」と同じく全体主義的かつ専制的であることを示唆し、同盟が社会を転覆して権力を握った後も大きな変化が起こりそうにないことを暗示する。ここにはトロツキズムが共産主義全般(および「スターリニズム」「一国社会主義」)と基本的に大差ないとみたオーウェルの見方が反映している。
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