兄弟同盟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/16 04:34 UTC 版)
「エマニュエル・ゴールドスタイン」の記事における「兄弟同盟」の解説
党の支配から逃れる手段を求める主人公ウィンストンは、志を同じくしているのではないかと感じられた党内局員のオブライエンと接触しているうちに「兄弟同盟」の実在を明かされ、兄弟同盟の一員として迎え入れられ、正式なメンバーとなるために読むことが必要な「例の本」、すなわちゴールドスタイン著の『少数独裁制集産主義の理論と実際』(1984年の現在ではイングソックとして知られている、社会主義・平等主義を謳う党の全体主義政治思想の実際を解説した書籍)を渡される。この際に説明された兄弟同盟の実態とは次のようなものである。同盟の規模は不明であるが全貌を知ることは誰にもできないし、メンバー各人に与えられる任務が組織全体の目的とどう関係するのかも決して明かされない。メンバーは3、4人のメンバーとしか接触できないが、それゆえたとえ最後に逮捕されても自白できることは数人のメンバーの名前だけですみ、そのメンバーたちも逮捕までの間に姿形を変えて消えていたり逮捕されて消されているかもしれない。組織のメンバーはその一員であることを示す合図などはもっていないため自分以外の誰がメンバーかは分かる手段はなく、誰も完全なメンバー表のようなものを所有したり渡したりはしないため思考警察が組織を一掃することも不可能とされる。この組織形態はサラエヴォ事件を起こした秘密結社「黒手組」と全く同じものである。 同盟への加入にあたり、オブライエンはウィンストンとその恋人のジューリアに問答を投げかける。たとえば命を投げ出す覚悟の有無、人殺しをする覚悟の有無、罪のない人々を死に至らしめる破壊工作の覚悟の有無、祖国を売る覚悟の有無、同盟の利益になるなら子供の顔に硫酸をかけることまでできるかどうか、などである。これらにウィンストンらはイエスと答え、同盟の目的のための無条件かつ完全な服従を誓う。
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