現代の外事警察
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 02:13 UTC 版)
「警察庁警備局国際テロリズム対策課」も参照 冷戦が終結すると、民族・宗教・国境などをめぐる対立が表面化したことで国際政治はさらに複雑となり、様々な紛争やテロが発生した。こうした国際情勢の中で、日本人がテロリズムの犠牲になる事案も起きるようになった。 1994年にはマニラから成田空港に向かう飛行機に爆弾が仕掛けられるフィリピン航空434便爆破事件が発生した。アルカーイダが世界規模の同時多発テロの予行演習として起こしたこの事件では、日本人1人が犠牲になった。 1996年に発生した在ペルー日本大使公邸占拠事件では、警察庁は外務省などと協力し、ペルーに医療関係者の派遣・捜査支援を行った。この事件を教訓として、国外でのテロ事件が発生した際に現地で情報収集や捜査支援を行う「国際テロ緊急展開チーム」(TRT、現在はTRT-2)が設置された。 2001年にアメリカ同時多発テロ事件が発生すると、アルカーイダをはじめとするイスラム過激派対策が外事警察の重要な任務となった。このような情勢に対応する為に、2004年の警察法改正で警察庁警備局に「外事情報部」が新設され、国際テロリズム対策室が課に格上げされたほか、警視庁では公安部外事第一課の国際テロ担当が独立して外事第三課が設けられた。 2010年には、警視庁公安部外事第三課の情報が流出する事件(警視庁国際テロ捜査情報流出事件)が発生し、イスラム教徒をテロリスト予備軍とみなし個人情報を収集していたことが発覚した。 また近年でも、ロシア・中国・北朝鮮などによる諜報活動が表面化しており、外事警察もこれら対日有害活動を摘発している。 外国のスパイ活動や不正輸出などを取り締まる警視庁公安部は、2021年4月から外事部門を現在の3課(外事1課:ロシアなど、外事2課:中国・北朝鮮を含む東アジア、外事3課:イスラム過激派など)から4課体制(外事1課:既存のまま、外事2課:中国、東アジア諸国、外事3課:北朝鮮、外事4課:業務内容は変わらず)に増やし、今はアジア全体を受け持っている外事2課から独立させる形で北朝鮮を専門に担当する課を新たに設置し、現外事2課を対中国により注力させる方針を固めたと報道された。
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