特種の目的に応じた形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 08:49 UTC 版)
嘉納治五郎は、柔道形について次のように述べている。「形には色々の種類があって、その目的次第で練習すべき形が異なるべきである。勝負に重きを置いてする時は、極の形の類が大切であり、体育としても価値はあるが特に美的情操を養うというようなことを目的とする時は、古式の形とか、柔の形の類が必要である。体育を主眼とし、武術の練習、美的情操の養成および精神の修養を兼ねて行おうと思えば、精力善用国民体育に越したものはないというふうに、その目指すところによって異なった形を選択せねばならぬ。今日はあまり多くの種類はないが、形はどれほどでも増やすことが出来るものであるから、将来は特種の目的をもって行ういろいろの形が新たに出来てよいはずである」。嘉納は、目的に応じて形を新たにつくり出されること、その必要性も想定していた。 講道館が認定している形以外にも、例えば三船久蔵とその高弟の伊藤四男との共同研究で作られ、のちにも国際武道院の昇段や日本柔道整復師会の柔道の大会においても伝えられ行われている「投技裏之形」 や、伊藤四男が創意工夫した「固め技裏之形」、三船久蔵による護身術の形、山下義韶が制定した警視庁捕手の形、平野時男の考案した「投げの形(応用)」や「五(後)の先の形」、「七つの形」などのように、歴史的に見ると個人が創意工夫し創作された形も幾つも存在する。 またヨーロッパにおいては技の種別毎や、目的に応じた様々な形の創作が流行っており、研究が行われ、実演されている実態もある。 「Ukemi no kata」「Kaeshi no kata」「Renraku no kata」「Renzoku no kata」「Hikomi no kata」「Rensa no kata」「Atemi no kata」などが研究、創作され行われている。 講道館・国際柔道連盟・フランス柔道柔術剣道及び関連武道連盟の共同で制作された「子どもの形」は、段階に応じて習得すべき内容がプロローグと7つのグレードに分けられており、2019年の柔道世界選手権東京大会において、講道館少年部によってエキシビジョンで披露されている。
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