熱電素子の課題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/08 23:51 UTC 版)
熱電素子の課題は「高効率熱電変換システムの開発」の最終報告を受けた事後評価報告書に述べられている。それによると 原理的にカルノーサイクルを使用する熱機関と比べ変換効率が低い(hi-z講演資料の(1)、(2)式参照。この式から明らかな様に、ZT値(熱電変換素子の項参照)が無限大の時、熱電素子の変換効率はカルノーサイクルと同じとなるが、現在知られている熱電素子のZT値は1~2程度で、ZT = 2 としてもカルノーサイクルの1/4程度の変換効率しか得られない)。 使用材料の多くが金属、半導体なので(宇宙空間では問題とならない)高熱下、酸素や水蒸気等により酸化劣化する。 多くの熱電素子が資源が少ない原料を使用するため素子を多量生産できない。 用途・使用温度によって材料が異なる熱電素子やモジュールが必要で、量産効果を期待できない。 その他として 火力発電、原子力発電、ディーゼル発電など既存技術と競合するため、競合のない太陽電池や燃料電池と比べ不利である。 1素子当たりの出力電圧が低いため、多数の直列結合が必要で、構造が複雑である。 出力電圧が温度差に比例して変動するため、電圧を一定とする補助電気回路が必須である。 各物質の組み合わせた素子ともZTの値が温度に依存する、このため使用温度により異なる熱電素子が必要となる。 熱源と熱電素子間での熱エネルギー損失が大きい。 等があげられる。
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